私たちが普段料理や給湯などで使用しているガスは大きく「都市ガス」と「LPガス(プロパンガス)」に大別することができます。都市ガスはガス管を通じてガスが供給されており、LPガス(プロパンガス)は各戸(建物)に対して業者さんが大きなガスボンベを運んで供給してくれています。
今回はそんなガスの中でも「LPガス(プロパンガス)」について、こちらを利用するメリット、デメリットの他、最近増えているプロパンガスの切り替えについての注意点などもまとめていきたいと思います。
LPガス(プロパンガス)は高いって本当?
賃貸住宅を選ぶときのチェックポイントなどにもなることがある都市ガスかLPガスかどうか。これはガスコンロなどがそもそも違うという点もありますが、ガス自体のコストも大きいです。
LPガス(プロパンガス)はガス単価が高く、都市ガスと比べるとガス料金が大きく上昇して困った……。という方も多いようです。この単価が高いという点がLPガスのデメリットと呼ばれる部分になります。
そもそも価格が自由価格で不透明
LPガスは値段を販売業者が自由に値付けできます。もちろんそれは当たり前といえば当たり前なのですが、消費者にとってはガス業者を簡単に変更できないという状況もあるため、ある意味「業者の言い値」に近い料金で契約していることも少なくありません。
競争が激しい地域では価格競争も起こりますが、あまり競合がいない地域ではかなり高い値段になっていることも少なくありません。
結果として都市ガスと比較して値段が2倍以上になるようなケースも少なくないとされます。
他にも、価格自体が不透明なケースもあります。たとえばLPガスの利用については多くの場合で毎月検針票が届くと思いますが、使用量、基本料金、単価、金額などがわかりやすく明記されていない場合もあるようです。
LPガス(プロパンガス)のシェアは低下傾向
LPガスは都市ガスの普及(配管の伸び)などもあり、基本的にシェアは低下傾向にあります。全体的には約3割強の世帯がプロパンガスを利用しています。
また、オール電化などの普及も進んでおり、田舎などでLPガスしか選択肢がない家庭にもIHクッキングヒーターやエコキュート(電気温水器)などによってガスを使わないという住宅も増えています。
LPガス(プロパンガス)を選ぶメリット
一方でLPガス(プロパンガス)のメリットも少なからずあります。
1)災害時の復旧は早い
都市ガスは道路の下にあるガス管を通じて各家庭にガスを供給しています。そのため、地震などによって道路が寸断されるなどの被害がでるとガス供給再開に時間がかかるケースが多いです。
一方のLPガスの場合、ガス自体は各建物に備え付けとなっているので建物内の配管に問題がなければすぐに利用できるという点が強いです。
2)工事費が安くつくことが多い
都市ガスは前述のように道路にガス管が来ていて、そこから地下で配管をつないでガスを引き込む形になります。そのため、初期コストが比較的高額となります。建築時以外のタイミングで引き込み工事をするのも大変です。
一方のLPガスは設置並びに工事も最低限で済むことが多く工事費は安価です。
3)そもそもガス動線(配管)が届いていない地域もある
都市ガスは配管を通じてガスを供給するため都市部以外の地域の普及はまだまだというところもあります。ガス動線(配管)が遠い場合はそれだけ引き込みコストが高額化しますし、そもそもガス管が来ていない場合はLPガス(プロパンガス)しか選択肢はありません。
LPガスの業者間での競争も激しくなっている
ちなみに2017年4月には、現在は地域制の独占サービスを行っている都市ガス(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス。西部ガスなど)ですが、こちらが電力と同様に自由化されています。
都市ガスや電力会社によるオール電化にLPガスは押されており、業者間での競争も激化しています。そうした流れを受けてLPガス業者も様々なサービス展開を行っています。
都市ガス自由化の前に自由化された電力自由化に伴い、LPガス(プロパンガス)事業者が新電力と組むなどしてセットプランなどを提供するケースがでています。
こうしたことを受けて最近増えているのが「LPガス業者の切り替え・乗り換え」です。すでにLPガスの自由化は行われているので、業者を切り替えることはユーザーの自由です。
個人的にもこうした競争によって価格はより適正となりサービスの質も向上すると考えています。
LPガス業者の乗り換え、切り替えのポイントと注意点
一方で、LPガス(プロパンガス)については切り替えをめぐるトラブルも少なくありませんし、切り替えを促す悪質な業者もいるようです。そうした点は十分に注意する必要があると思います。
以下はLPガスの事業者を乗り換える、切り替える場合に知っておきたい注意点などをまとめていきます。
アパートやマンションは一棟単位での切り替えになる
賃貸アパートやマンションにお住まいの方は、各住戸ごとのプロパン契約ではなく、建物ごとの契約になっています。あなたがオーナー(所有者)であれば全戸切り替えは可能ですが、賃借人として住んでいる場合は大家さんに手続きしてもらうことになります。
分譲マンションのケースなら管理組合を通じての対応となります。
いきなりの乗り換えではなく契約交渉もあり
一般財団法人日本エネルギー研究所石油情報センターでは最新のLPガス小売価格を「こちら」で公表しています。たとえば、お住まい地域の価格と現在の契約価格との間に大きな差があるのであれば、こうした情報をもとに価格交渉をしてみるのも手だと思います。
飛び込みやWEBでのセールスにも注意
検針票を見せてほしい、委任状を書いてくれたら手続きは全部代行するなどといって契約を迫るケースがあります。中にはそうした切り替えをせまる業者の方が悪質業者であるようなケースも少なくありません。
なお、訪問契約となりますので「クーリングオフ」により契約解除をすることも可能です。
参考:覚えておきたいクーリングオフのやり方と文例、書き方
契約書をよく確認すること
LPガス事業者の中には初期費用を受け持つ代わりに○○年は利用すること。というような契約を結んでいるようなケースがあります。そうしたケースでは途中解約の場合は残存価格分を支払うといったような内容になっているケースも少なくありません。
いずれにしても、LPガスを切り替えるときはすぐに判断するのではなく、現在利用しているLPガス業者の契約書の確認の他、価格が高いというのであれば今の業者に価格交渉を行ってみるというのも一つだと思います。
また、新規業者と契約をするときはそうした契約内容に問題がないかも合わせてチェックする必要があります。
以上、LPガス(プロパンガス)のメリット、デメリットと切り替えをするときの注意点をまとめてみました。
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