帰省したら実家がゴミ屋敷みたいになっていた。ゴミ屋敷とまではいかなくても、部屋が雑然として荷物がいっぱいで、部屋が汚い。それを見て、片付けるように言ってもなかなか片付かない。
高齢者を親に持つ子の中でそんなことが問題となっているケースが増えています。この高齢者が片付けできない問題というのは、親自身が悪いわけではありません。それにはやはり原因があるわけです。
今回はそんな、高齢者が自宅の片付けなどができない理由とその解決方法について紹介していきます。
高齢者が片付けをできなくなる理由
高齢者が片付けできないと嘆くのではなく、きちんとその理由を理解してあげるとできることがいろいろあることがわかります。
なお、この記事では「高齢者」と書いていますが、ご両親や祖父母などに置き換えて考えてみてください。
- 子(第三者)にとってはゴミでも本人にとっては大切なもの
- 片づけをしようと思っても体力的に問題がある
子(第三者)にとってはゴミでも本人にとっては大切なもの
まず、親御さんにとって、あなたが傍目から見て「ゴミ」と思うようなものでも実は大切なものであると考えていることは少なくありません。
ボロボロであっても、それは思い出の詰まった大切なものだと考えているわけです。特に現役世代ではなく高齢者になると、これから新しいことをするという機会は減ります。そのため、過去の思い出をより重要に感じてしまうわけです。
また、現代のようにモノがあふれている前の時代を生き抜かれてきた方たちなので、モノを簡単に捨てるという価値観がないという方も多いです。
片づけをしようと思っても体力的に問題がある
もう一つの理由は体力的な問題です。
片付けをしなければ!と思っても、重いものが持てない、すぐに疲れてしまうといったように体力的に問題があります。
若い人からみれば、ちょっと片づけをするだけ。と思うかもしれませんが、高齢者がそれをするというのは非常に大変なことなのです。
そのため、片付けや掃除がやりにくくなり、片付けない家になってしまうわけです。
自分が手伝って一緒にやろうといったように、サポートが必要になります。
一方で片付けてされてない家は高齢者にとって危険
厚生労働省による「不慮の事故死亡統計(2009)」によると家庭内における死亡事故の3位が店頭によるものです。高所にあるものを取ろうとして転落した。床に置いてあるものに躓いて転んだ。といったことが原因として大きいです。
こういった事故は、部屋が雑然としている、整理されていないことで発生するリスクが高くなります。
東京消防庁統計では、搬送が必要となった住宅事故は居室・寝室が一番で、搬送された理由は1位が転倒、2位が落下で、8割を占めます。
死亡事故にはならなくても、転倒などによって骨折するなどすると、筋力が落ちてしまいそのまま寝たきり状態になってしまうなど、健康寿命に対して大きな悪影響を生じることにもなります。
高齢者の片付けで注意するべき点
では、お片づけを手伝おう。あるいは、業者を入れて手伝いをしようというように考えた時に注意するべき点がいくつかあります。それは「片付けさえすればOK」というものではないということです。
なによりも大切なのは、そこに住むご両親(高齢者)の気持ちです。
- 片づけを強要しない、勝手にしない
- よく使う場所から整理をする
- 捨てるよりも仕分ける
- 思い出の品は大切に保管するけど、コンパクト化も図る
片づけを強要しない、勝手にしない
お部屋の片づけはあくまでも本人が自発的にやるべきものです。
いくら身内であってもご両親の許可も取らずに勝手に片づけをするなどはもってのほかです。これは結構やってしまう方も多いようで、たとえば高齢者が入院している間に、不用品ということで荷物の多くを処分するケースがあります。
これは場合によっては絶縁レベルで大きな溝を作ってしまう可能性があります。絶対にやめておきましょう。じゃあ、どうやって片づけをしようという気持ちにさせるのか?ということが重要ですよね。
- 転倒や落下などの事故予防の観点から掃除を提案する(健康を気遣う)
- 一緒に片づけをしようと提案する
- 終活、生前整理などのテレビや雑誌をそれとなく共有する
といったことが挙げられるでしょう。大切なのは高齢者の気持ちに寄り添うことです。
特に(3)の終活や生前整理に関しては高齢者によっては直接的に伝えてしまうと「お前は私に死んでほしいと思っているのか?」と不信感や誤解を抱かせてしまうことになりかねません。
テレビ番組などを(偶然をよそおって)一緒に見るなどして、第三者的な意見として、それをもとに実家の片付けを提案するといったように進めていきましょう。
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よく使う場所から整理をするけど、大きく変えない
“大きく変えない”というのは高齢者の片付けにおいて重要なところです。
長年生活してきた生活環境を大きく変えるのはストレスになります。なので、もともとの収納場所を大きく変えるといったことはやめておいたほうがいいです。
- よく使うものを便利で取り出しやすい位置に置く
- あまり使わないものは分けて片付ける
といった感じにしましょう。
また、片付けをする場所は片付けによるメリットを高齢者が実感しやすい場所からすることをお勧めします。寝室、リビング、キッチンなど生活に密着したところを整理して、“暮らしやすさ”を実感してもらえれば、これから先の片付けにも協力的になってくれるはずです。
捨てるよりも仕分ける
冒頭にも書きましたが、高齢者にとってモノは“子(第三者)にとってはゴミでも本人にとっては大切なもの”であることが多いです。
そのため、物を捨てるのが難しいのです。ゴミは別として思い出のあるモノであれば、それは捨てるのではなく、仕分けるようにしましょう。
- 必要なもの
- 必要ないもの
- 迷うもの
捨てる捨てないについては上記の4つに分けるのが一般的です。
必要/不要は分かりやすいですよね。不要なら捨ててしまいましょう。そして、いる、いらないについて8秒以内に決断できないものは「迷ったもの」として捨てずに保管しておきましょう。
そして半年後に再度「必要/不要」を考えます。たいていの場合は「不要」となると思います。
思い出の品の整理方法
アルバムや写真、子どもや孫からもらった工作物や絵などは、本人にとっての価値はプライスレスです。こうした思い出の品は、丈夫な段ボールなどで「思い出箱」を作り、そこに保管するようにしましょう。
また、量が膨大な場合はコンパクト化も考えてもよいと思います。
- 写真は厳選した写真○○枚を使ったマイベストアルバムを作る
- それ以外の写真はデジタル化してフォトブックにする
- ビデオテープはデジタル化してデータにする
特に最近では生前整理に関するサービスも増えており、こうした思い出をコンパクト化するようなサービスも登場しています。
実家の高齢者の片づけは「心」の問題が重要
今回は実家の高齢者の「モノ」の片付けについて紹介しました。
自分の実家(両親)の家の片づけということでついつい「なぜ片付けしないんだ!」と感情的になってしまうこともあると思います。
でも、高齢者にとって片づけは体力的にも、また心理的にもハードルが高いということを理解してください。これは、片付けを業者に依頼するときも同じです。単純な“片付け屋”ではなく、高齢者に寄り添った整理・お片づけを提案してくれる業者にお願いするようにしましょう。
以上、実家の高齢者が片付けできない理由と片づけを手伝いする方法についてまとめてみました。
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