銀行口座とマイナンバーの紐づけは義務?登録のメリットと失敗しない手順

銀行で「マイナンバーを届け出ますか」と聞かれても、通常の預貯金口座への付番は、本人の意思で選ぶ任意の手続きです。ただし、投資信託・NISA・外国送金などで必要になる番号の届出や、口座開設時の本人確認は、別に考える必要があります。
まず「何のための登録か」を確認しましょう。相続・災害時の口座探しに備えるのが預貯金口座付番、給付金の受取先を国へ届けるのが公金受取口座、本人確認書類としてカードを使うのが口座開設等の本人確認です。この3つを区別すると、必要な手続きと自分で選べる手続きが分かります。
銀行口座へのマイナンバー登録は義務?まず3つを区別
| 手続き | 目的・選び方 |
|---|---|
| 預貯金口座付番 | 金融機関へマイナンバーを届け出て、口座と結び付けて管理する制度。通常の預貯金口座については任意 |
| 公金受取口座登録 | 給付金等の受取先を、本人名義の1口座に決めて国(デジタル庁)へ登録する制度。預貯金口座付番とは別 |
| 口座開設時等の本人確認 | その人本人であることなどを、書類やICチップ等で確認する手続き。本人確認を受けることと、12桁の個人番号を口座へ付番することは別 |
公金受取口座を登録しただけで、金融機関への届出なく預貯金口座に付番されることはありません。また、公金受取口座を登録しなくても、必要な口座情報を各給付の申請先へ提出するなどして給付金を受け取れます。登録後の申請が必要かどうかは給付制度ごとに異なるため、「登録すればすべて自動入金」とは考えないでください。
投資信託・NISA・外国送金などの届出は別
通常の預金口座への付番が任意でも、税法上の番号の記載・告知義務がある取引では、マイナンバーの届出が必要です。主な例は、投資信託・債券の口座開設、NISA、外国送金、マル優・マル特、財形住宅・財形年金などです。
たとえば三菱UFJ銀行は、預金口座開設や住所・名前の変更時の付番は任意、投資信託・債券等の対象手続きは必須と分けて案内しています。届出済みなら再提出不要となる取引もあります。案内を受けたら、単に「任意だから不要」と返す前に、番号が必要となる取引の例と、利用する銀行の手続き条件を照合しましょう。
付番すると何が便利になる?相続・災害時に探せる口座
預貯金口座付番は2018年1月に始まり、2025年4月1日からは複数の金融機関への一括届出や、相続・災害時の口座照会の仕組みが拡充されました。大切なのは、事前に付番された口座の所在を調べるための制度だという点です。
相続時:生前に付番した口座を一括照会できる
亡くなった人が生前に付番をしていれば、相続人等が金融機関の窓口で相続時口座照会を申し込めます。ただし、一部の金融機関は対象外で、マイナンバーが届け出られていない口座は、この仕組みでは確認できません。
つまり、「照会結果に出ない=預金がない」とは判断できません。通帳、郵便物、取引金融機関の一覧などの確認も必要です。制度だけに頼らず、生前に銀行名を整理しておくと、家族が探す手掛かりになります。
相続時照会は亡くなってから10年以内が対象で、亡くなった人のマイナンバーそのものは申請時に不要です。申請者の本人確認書類、故人の氏名・住所・生年月日を確認できる書類、相続関係等を確認できる書類が必要になります。マイナポータルから相続時照会を申し込むことはできません。
手数料は5,060円(税込)で、預金保険機構が定める金融機関一律の料金です。照会で口座が見つからない場合も原則としてかかります。一方、auじぶん銀行の現行申込書では、故人のマイナンバーを確認できず、法に基づく通知ができない場合の返金が案内されています。申込先で最新の返金条件と必要書類を確認してください。
遺族が準備する書類、郵送での申込み、通知後の確認は、亡くなった親の銀行口座を探す手順にまとめています。
照会は、預金の払戻しまで終える手続きではありません。申込みにより照会先へ死亡の事実が通知され、口座取引が停止される場合があります。公共料金などの引落しも含め、銀行の相続窓口で手順を確認しましょう。住所の表記揺れなどによって照会できない場合もあるため、申請書は確認書類の表記どおりに記載することが大切です。
預金以外に不動産がある場合は、別途、相続登記の期限と手続きも確認しておきましょう。
災害時:事前に付番した口座を、指定した金融機関について照会
被災前に付番していた場合、通帳などが手元になくても、所定の金融機関窓口から災害時照会を申し込めます。デジタル庁の案内では、一部対象外の金融機関を除き、指定した1つの金融機関にある付番済み口座の所在を確認する仕組みです。相続時の一括照会と同じ範囲ではありません。
災害救助法が適用された地域などの利用条件があり、マイナンバーと本人特定事項を確認できる書類も必要です。この制度の照会だけで、避難先のどの銀行からでも直ちに預金を引き出せるわけではありません。デジタル庁は現時点では、この制度による預貯金の払戻しは行えないと案内しています。生活資金が必要な場合は、取引銀行の被災者向け対応を別に確認してください。
登録前に知りたい、選べる範囲と取消しの制限
選べるのは金融機関。1口座だけを指定する仕組みではない
付番を希望する金融機関は選べますが、その銀行にある複数の口座から「普通預金だけ」「この支店の口座だけ」と個別に選ぶことはできません。対象金融機関が管理する本人名義の預貯金口座が対象になります。ただし、休眠口座など、銀行の管理状況によって一部が付番されないことがあります。
他行やマイナポータルを経由した付番、相続・災害時照会の受付や情報提供については、一部対象外の金融機関があります。口座を一覧にしたら、デジタル庁の対象外金融機関の案内も確認してください。対象外だから口座自体が利用できなくなる、という意味ではありません。
付番完了後は原則取消しできない
預貯金口座への付番は、完了後に原則として取り消せません。公金受取口座の変更・抹消と同じ操作で解除できるものではないため、どの銀行へ届け出るかを決めてから申請しましょう。
残高が自動的に国へ送られるわけではない
デジタル庁は、マイナンバーの届出をきっかけに、金融機関が国へ預貯金残高などを知らせることはないと説明しています。一方、従来から法令に基づく税務調査や社会保障の資力調査などでは、口座情報を確認できる仕組みがあります。「付番すると常時監視される」「付番しなければ法令上の調査もできない」のどちらも正確ではありません。
付番するなら、住所確認→申請→結果確認の順に進める
銀行の氏名・住所を最新にする
窓口等またはマイナポータル
通知で付番できたか確かめる
1.改姓・転居があれば、先に銀行の登録を更新する
付番は、氏名・住所・生年月日などを照合して行います。銀行に旧住所や旧姓が残っていると、正しく申し込んだつもりでも付番できないことがあります。住民票の情報と銀行の登録が一致しているか確認し、変更があれば銀行の手続きを先に済ませましょう。
2.窓口等かマイナポータルを選ぶ
金融機関では、マイナンバーと氏名・住所・生年月日を確認できる書類を準備します。マイナンバーカード以外の書類の組合せを使える場合もあるため、来店前に銀行の案内を確認してください。
マイナポータルを使う場合は、マイナンバーカードと対応端末が必要です。「さがす」で「金融機関へのマイナンバーの届出申請」と検索するか、公式の届出申請入口から内容を確認します。ここでは複数の金融機関への申込みができます。給付金の受取先だけを登録したい場合は、公金受取口座の手続きと取り違えないでください。
3.申し込んだだけで終わらず、成功・不成功を確かめる
マイナポータルからの申請結果は「お知らせ」に届きます。金融機関から預金保険機構を経由して複数の銀行へ届け出た場合は、付番結果通知書が郵送されます。不成功なら、入力内容と銀行の本人情報を確認して修正し、必要に応じて再申請します。
銀行名ごとに「申請日・結果確認日・未完了の手続き」を控えておくと、どこまで済んだか分からなくなるのを防げます。この管理メモにマイナンバーそのものや暗証番号を書き込む必要はありません。
郵送結果を待つ間の転居にも注意。デジタル庁は、複数金融機関への付番結果通知書は国内宛て・転送不要と案内しています。転居後に転送されない場合があるため、引越し直前の申請は通知先も確認しましょう。相続時照会の結果通知も転送不要で、再申請に手数料が再度必要になる場合があります。
2027年4月の本人確認見直しは「付番の義務化」ではない
2027年4月1日から、口座開設等での本人確認方法が見直されます。警察庁の案内では、対面では運転免許証やマイナンバーカード等の提示に加えてICチップ情報の読取りが必要となり、非対面では原則として書類画像や写しを使う方法から、ICチップ情報の送信等へ変わります。金融機関が先行実施する場合もあります。
マイナンバーカードだけに一本化されるという案内ではありません。また、この本人確認方法の変更により、通常の預貯金口座への任意付番が義務に変わるわけでもありません。利用できる書類と方法は、申し込む銀行の最新案内を確認してください。
運転免許証のICチップ読取りには2つの暗証番号が必要です。忘れた場合は警察署等で確認できるため、口座開設の直前に慌てないよう、警察庁の本人確認方法見直しのチラシ(PDF)から準備事項を確認しておきましょう。
よくある疑問
マイナンバーカードを本人確認に使うと、勝手に付番される?
本人確認書類として使うことと、口座に個人番号を付番することは別です。預貯金口座付番についてデジタル庁は、本人の届出なく付番されることはないと説明しています。申込画面や書面では、何に同意する欄なのかを確認しましょう。
相続のためなら全口座を登録した方がいい?
付番は口座探しに役立ちますが、未付番・対象外・照合不成功などにより確認できない口座もあります。まず銀行名の一覧を整理し、対象と取消し制限を理解したうえで選びましょう。付番結果の確認まで済ませ、家族が口座の存在を知る手掛かりも残しておくことが大切です。
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