保険料調整制度とは?2026年10月開始の対象者と会社への確認手順

2026年10月から始まる保険料調整制度は、新たに社会保険へ加入する一定のパートなどについて、健康保険料と厚生年金保険料の本人負担を軽くする制度です。
ただし、働く人が自分で申し込めば誰でも使えるものではありません。
対象となる勤務先が制度を利用し、本人も条件を満たす必要があります。
勤務時間を増やす前に、会社が対象か、いつから何か月使えるか、軽減が終わった後の負担はいくらかを確認すると、家計の見通しを立てやすくなります。
- 勤務先は保険料調整制度の対象で、利用する予定があるか。
- 自分の標準報酬月額と、給与から引かれる保険料はいくらか。
- 制度利用の何か月目に当たり、いつ負担が変わるか。
以下は2026年9月21日時点の公表内容です。
10月の制度開始と、企業規模に応じた社会保険の適用拡大は、同じ日程ではありません。
勤務先の条件と本人の条件を分ける
保険料調整制度は、会社が従業員の保険料の一部を一時的に追加負担し、その分を後から調整する仕組みです。
対象期間に本人が払う保険料が減っても、この制度を使ったことにより将来の年金額が減ることはありません。
どの勤務先が対象になるか
代表的なのは、2026年10月以降に労使の合意で短時間労働者にも社会保険を適用する勤務先と、2027年10月以降の適用拡大で新たに対象となる勤務先です。
前者は「任意特定適用事業所」と呼ばれます。
| 勤務先の状況 | 確認すること |
|---|---|
| 小規模の会社が自主的に適用を広げる | 2026年10月以降に任意特定適用事業所になる時期と、制度利用の申出 |
| 企業規模の基準変更で新たに対象になる | 2027年10月以降の適用時期と、制度利用の申出 |
| 以前から短時間労働者にも適用している | 既存の特定適用事業所等は対象外となる条件があるため、単に人数だけで判断しない |
会社の人数も、店舗の在籍人数やパートを含む単純な人数では判断できません。
厚生年金の被保険者数などによる基準で扱われるため、労務担当者に「うちは何人か」だけでなく「どの適用事業所に当たるか」を尋ねます。
本人はどの条件を確認するか
対象は、短時間労働者として健康保険と厚生年金保険に加入する人のうち、標準報酬月額が12.6万円以下の人です。
学生ではないことや、週の所定労働時間など、短時間労働者の加入条件も確認します。
標準報酬月額は、保険料を計算するために報酬を区分した金額です。
給与明細の基本給や手取りと同じ数字ではありません。
通勤手当なども報酬に含まれるため、基本給だけを見て対象と判断しないようにします。
複数の事業所で健康保険と厚生年金保険に加入している人や、産前産後休業などで既に保険料が免除されている人は対象外です。
70歳以上は厚生年金の扱いが異なり、健康保険料だけが対象になる場合があります。
対象の事業所か。利用の申出をするか。
短時間労働者の条件と標準報酬月額を確認。
軽減中と終了後の負担を比較して働き方を決める。
保険料はどのくらい減るのか
軽減額は、標準報酬月額に保険料率と制度上の軽減割合を掛けて計算します。
同じ制度でも、標準報酬月額によって軽減割合が変わります。
健康保険料率は加入先で異なるため、実際の金額は会社の試算と給与明細で確認します。
| 標準報酬月額 | 1~2年目の軽減割合 | 3年目の軽減割合 |
|---|---|---|
| 8.8万円以下 | 25% | 12.5% |
| 9.8万円 | 20% | 10% |
| 10.4万円 | 14% | 7% |
| 11万円 | 9% | 4.5% |
| 11.8万円 | 5% | 2.5% |
| 12.6万円 | 2% | 1% |
この割合を掛けるのは、通常の「本人負担額」ではなく、標準報酬月額×保険料率で求める保険料全額です。
例えば厚生年金の保険料率18.3%、標準報酬月額8.8万円なら、全額は16,104円です。
| 時期 | 厚生年金の本人負担 | 通常との差 |
|---|---|---|
| 通常の折半 | 8,052円 | 基準 |
| 制度利用1~2年目 | 4,026円 | 月4,026円軽減 |
| 制度利用3年目 | 6,039円 | 月2,013円軽減 |
これは厚生年金だけの例です。
健康保険も含めた給与の手取り総額ではありません。
標準報酬月額や保険料率が変われば、負担額も変わります。
賞与にかかる保険料、介護保険料、子ども子育て支援金は、この制度の軽減対象外です。
給与明細の社会保険料を全部まとめて半分にする計算はできません。
3年間は勤務先の利用期間で数える
軽減は、事業所が利用を申し出た月から通算3年間の範囲で行われます。
自分が入社した月から全員に3年間が付くわけではありません。
例えば会社が2026年10月から使い始め、停止なく利用を続けた場合、2027年10月に加入する人の軽減期間は残りの範囲です。
途中入社でも最初の2年間は同じ割合が使える、と家計を組むと見込み違いになります。
対象者がいなくなるなど一定の場合には、自動停止や再開があり、期間の数え方も変わります。
会社に開始年月と現在の通算月数を確認し、「本人の加入から何年目」だけで見ないようにします。
会社への相談から給与明細の確認まで
- 契約上の週の所定労働時間と、勤務先の社会保険適用時期を確認する。
- 会社が保険料調整制度を利用するか、開始申出の予定を確認する。
- 通勤手当などを含む報酬から、標準報酬月額を試算してもらう。
- 利用1~2年目、3年目、終了後の本人負担を分けて聞く。
- 初回の給与明細で、対象となる保険料と対象外の項目を照合する。
制度の申出は事業主が行います。
対象事業所になった時期などによって申出期限があるため、本人が会社へ相談せずに待つだけでは利用できません。
会社が利用する場合は、条件を満たす対象者全員に適用され、一部の人だけを選ぶ仕組みではありません。
軽減終了後まで見て働き方を決める
家計では、軽減で増える分をすべて固定費に回さず、通常の保険料に戻った月の収支も作っておくと調整しやすくなります。
前の厚生年金の例なら、1~2年目と通常時の差は月4,026円です。
その差を別に取り分ければ、終了時の支出増に備えられます。
配偶者の勤務先から支給される家族手当が減るか、保育料や通勤費が変わるかも別に確認します。
保険料だけが減っても、世帯全体の手取りが同額増えるとは限りません。
対象者、事業所、利用期間、申出書式:日本年金機構の保険料調整制度案内。
勤務先への相談では、開始年月、標準報酬月額、軽減対象外の項目を確認してください。
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