教育訓練休暇給付金とは?対象条件と生活費の備え、失業給付への影響

仕事を辞めずに学び直したいけれど、無給の休暇中に生活費が足りなくなる。その負担を支えるのが、2025年10月に始まった教育訓練休暇給付金です。
会社に在籍したまま、一定の条件で30日以上続けて無給の教育訓練休暇を取る人が対象です。受講料の補助とは別の制度で、休暇中の生活費に充てる給付を受けられます。
先に講座へ申し込むより、会社の休暇制度、雇用保険の加入歴、入金までの生活費を確認する順がおすすめです。特に、受給すると失業給付の加入期間の扱いが変わるため、退職も考えている人はその影響まで含めて判断してください。
以下は2026年9月21日時点の制度です。
教育訓練給付金との違いは「生活費の支援」
| 制度 | 主に支える費用 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| 教育訓練休暇給付金 | 在職中に無給で学ぶ期間の生活費 | 会社の休暇制度、加入歴、対象となる訓練 |
| 教育訓練給付金 | 指定講座の受講費用の一部 | 講座の指定、加入歴、受講前後の手続き |
名前が似ていますが、講座代が補助されるから休暇中の生活費も自動で支給される、という関係ではありません。それぞれの支給要件と申請が必要です。受講費用の制度は、教育訓練給付金の使い方で整理しています。
対象になるかは3段階で確認する
1 会社に無給の休暇制度があり、取得の承認を得られるか
就業規則や労働協約などに基づく、連続30日以上の無給の休暇が必要です。本人が自発的に学ぶために取得を希望し、会社が承認する形になります。
単に有給休暇をまとめて使ったり、個人で欠勤を決めたりするだけでは対象になりません。教育訓練以外にも利用できる休暇制度でも、要件を満たす教育訓練のために使う場合は対象になり得ます。会社に制度名だけでなく、規程と申請手順を確認しましょう。
2 雇用保険の加入条件を両方満たすか
対象は雇用保険の一般被保険者で、次の2つをともに満たす必要があります。
- 休暇開始前の2年間に、被保険者期間が12か月以上ある。
- 休暇開始前に、雇用保険に加入していた期間が通算5年以上ある。
前者は原則として賃金支払いの基礎となった日が月11日以上ある月で数えます。勤続年数をそのまま当てはめるものではありません。
転職前の期間も通算できる場合がありますが、離職期間の長さや、過去の失業給付などの受給歴で扱いが変わります。高年齢被保険者などはこの制度の対象外です。加入歴に空白や過去の給付がある人は、契約や休暇日程を確定する前にハローワークで資格を確認すると、支払い後の見込み違いを避けられます。
3 受けたい教育訓練が対象か
大学、大学院、専修学校などが提供する教育訓練のほか、教育訓練給付金の指定講座を持つ法人等が提供する訓練などが対象です。所定の語学留学や海外大学院への進学なども含まれます。
学び直しなら内容を問わず対象になるわけではありません。講座名、運営法人、期間、学習内容がわかる資料をそろえて照合します。受講料の給付に使う「指定講座かどうか」と、休暇給付の対象訓練かどうかは別々に確認してください。
休暇規程と無給期間、復帰予定を確認。
加入歴と対象訓練を確認して日程を決める。
入金前の費用を確保し、会社と本人の手続きを進める。
いくら、何日分もらえるのか
給付日額は、原則として休暇開始前6か月の賃金をもとに、失業給付の基本手当と同じ考え方で算定されます。年齢によっても変わるため、手取りの一定割合を全員が受け取る制度ではありません。
給付日数の上限は、算定に使える雇用保険の加入期間によって変わります。
| 加入期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
給付を受けられる期間は原則として休暇開始日から1年間で、その中の対象となる休暇日について支給されます。「90日が上限だから、30日休めば90日分まとめてもらえる」わけではありません。仕事をして収入を得た日や、有給休暇など別の休暇の日は支給対象になりません。
金額の見通しは、厚生労働省の制度案内にある給付額の試算表を使い、休暇前の賃金と年齢から確認します。給付日額の上限等は改定されるため、申請時期の表を使ってください。
学費に加え、入金までの生活費を用意する
給付は、休暇開始時に全額を前払いする仕組みではありません。認定と支給手続きがあるため、「毎月の家計の不足」と「振込までに必要な現金」を分けて見積もります。
月の不足と手元資金の計算例
以下は制度の支給額を保証する例ではなく、資金計画の作り方を示す仮定です。
| 項目 | 仮の金額 |
|---|---|
| 生活費、税金、保険料などの月支出 | 22万円 |
| 認定後に受け取る給付の月換算額 | 17万円 |
| 給付を受けても残る月の不足 | 5万円 |
| 3か月の不足合計 | 15万円 |
さらに、仮に最初の2か月分の支出を入金前に払うなら、生活費の立替えに44万円が必要です。これは実際の振込待ち期間を2か月と断定するものではありません。学費の先払いが別にあれば、その分も足します。
立替資金44万円と最終的な不足15万円を機械的に足すと、同じ支出を二重に数えることがあります。月別に支出日と入金予定日を並べ、残高がいちばん少なくなる時点を確認してください。支給が遅れても学びを中断しない予備資金も用意します。
無給だから保険料や住民税の支払いもゼロになる、と家計表に入れないことも大切です。会社へ休暇中の金額と徴収方法を確認し、学費、教材費、交通費も別欄にします。
受給後の失業給付への影響を先に確認
教育訓練休暇給付金を受けると、休暇開始前の被保険者期間などはリセットされ、失業給付の受給資格や給付日数の判定に通算できなくなります。休暇後すぐに退職する計画がある人は、失業給付も続けて受け取れる前提で生活費を組まないでください。
一方、育児休業等給付や介護休業給付に関する期間、受講料を支える教育訓練給付金の支給要件期間には、このリセットの影響はありません。雇用保険のすべての給付が同じ扱いになるわけではない点も区別します。
退職の可能性がある場合は、失業保険の受給条件と手続きも読み、自分の受給歴を伝えてハローワークで確認してください。
会社と本人で分担する申請手順
- 休暇前に会社へ相談し、規程、休暇日程、復帰予定、受講内容を整理する。
- ハローワークで加入歴と訓練の条件を確認し、給付見込みと支払い予定から資金計画を作る。
- 会社が賃金月額証明書などを提出する。提出期限は原則、休暇開始日の翌日から10日以内。
- 会社から交付される書類を受け取り、本人が原則、休暇開始日から30日以内に支給申請する。
- 指定された認定日に、原則30日ごとの休暇取得状況を申告し、認定後の支給を受ける。
本人の申請先は原則として住所を管轄するハローワークです。本人確認書類、振込口座の確認書類、会社から受け取る書類を事前にそろえます。休暇取得中にアルバイトなどの就労をした日は申告が必要です。
支給対象、申請書式、給付額の試算表:厚生労働省の教育訓練休暇給付金案内。加入歴に転職や過去の給付がある場合は、受給資格の事前確認から進めてください。
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