子ども名義の株取引で親の扶養控除はどうなる?特定口座、NISA、確定申告の注意点
子ども名義の証券口座で株式投資をすると、利益の出方によって親の扶養控除に影響することがあります。
特に、子どもが16歳以上で親が扶養控除を受けている場合、株の利益を子どもの所得として申告するかどうかが大きな分かれ目です。
一方で、特定口座の源泉徴収ありで申告しない場合や、NISA口座の非課税利益は、扶養判定に影響しにくい扱いになります。
この記事では、子ども名義の株取引で親の税金が増えるケース、増えにくいケース、確定申告やNISAの注意点を整理します。
この記事の要点
- 令和7年分以後、所得税の扶養親族の所得要件は合計所得金額58万円以下です。
- 16歳以上の扶養親族が要件を外れると、親は扶養控除を使えなくなる可能性があります。
- 19歳以上23歳未満は特定扶養親族に該当すると所得税63万円の控除があります。
- 特定口座の源泉徴収ありで申告しない上場株式の譲渡所得は、扶養判定に入れずに済む扱いです。
- 損益通算や還付を受けるために確定申告すると、申告した利益が合計所得金額に入ることがあります。
- NISA口座の売却益や配当は非課税なので、親の扶養控除への影響を抑えやすいです。
子どもの株利益で問題になる扶養控除
扶養控除は、納税者に控除対象扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。
国税庁の説明では、控除対象扶養親族は、その年12月31日時点で16歳以上の扶養親族です。
19歳以上23歳未満の子どもは、要件を満たすと特定扶養親族となり、所得税では63万円の控除が受けられます。
| 子どもの年齢 | 所得税の扶養控除 | 注意点 |
|---|---|---|
| 16歳未満 | 扶養控除なし | 所得税の扶養控除はありませんが、住民税や勤務先手当の判定で情報を求められることがあります。 |
| 16歳以上19歳未満 | 一般の控除対象扶養親族として38万円 | 子どもの所得が要件を超えると親の控除に影響します。 |
| 19歳以上23歳未満 | 特定扶養親族として63万円 | 控除額が大きいため、株利益の申告による影響も大きくなります。 |
| 23歳以上 | 一般の控除対象扶養親族として38万円 | 生計を一にしていることなどの要件も確認します。 |
税金の負担増は、控除額に親の所得税率や住民税率を掛けて考えます。
たとえば、19歳以上23歳未満の子どもについて所得税63万円の特定扶養控除が使えなくなると、親の所得税率が20%なら所得税だけで12万6,000円の差になります。
住民税の扶養控除も別に影響するため、家計への影響は小さくありません。
扶養判定の所得要件は58万円以下
令和7年分以後の所得税では、扶養親族の合計所得金額の要件は58万円以下です。
改正前は48万円以下でした。
そのため、株式の譲渡益や配当を子どもの所得として申告する場合、年間の合計所得金額が58万円を超えるかどうかを見ます。
ここでいう合計所得金額は、給与収入そのものではありません。
アルバイト収入なら給与所得控除後の所得、株式の売却益なら取得費や手数料を差し引いた譲渡所得などを合算して判定します。
給与と株の利益が両方ある子どもは、片方だけを見て判断しないようにします。
特定口座の源泉徴収ありが基本になる理由
子ども名義の株取引では、特定口座の源泉徴収ありを選ぶのが管理しやすいです。
国税庁の特定口座制度の説明では、源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡所得は申告不要にできるとされています。
申告不要を選んだ利益は、親の扶養控除を判定する合計所得金額に入れずに済みます。
| 口座区分 | 税金の扱い | 扶養への影響 |
|---|---|---|
| 特定口座、源泉徴収あり | 証券会社が計算し、税金も源泉徴収 | 申告しなければ扶養判定に入れずに済む |
| 特定口座、源泉徴収なし | 証券会社が年間取引報告書を作成 | 利益が出れば原則として申告が必要になり、扶養判定に入る |
| 一般口座 | 自分で損益計算が必要 | 申告した所得が扶養判定に入る |
| NISA口座 | 売却益や配当が非課税 | 非課税利益なので扶養への影響を抑えやすい |
特定口座の源泉徴収あり、源泉徴収なしの違いは次の記事で詳しく解説しています。
確定申告すると扶養に影響するケース
特定口座の源泉徴収ありでも、確定申告をしたほうが税金だけ見れば有利になることがあります。
たとえば、配当控除を受けたい、他の口座の損失と損益通算したい、譲渡損失を繰り越したい場合です。
しかし、申告した所得は扶養判定に入ることがあります。
子どもが株で70万円の利益を出し、特定口座の源泉徴収ありで申告しなければ、扶養控除への影響を避けられる可能性があります。
しかし、その70万円を確定申告に含めると、令和7年分以後の扶養親族の所得要件58万円を超え、親の扶養控除に影響する可能性があります。
税金の還付だけを見て申告すると、親の扶養控除の減少で家計全体では損になることがあります。
子どもの口座で確定申告するかどうかは、子ども本人の税金と親の扶養控除をまとめて見ます。
配当金を申告するかどうかの考え方は、次の記事も参考になります。
19歳以上23歳未満は特定親族特別控除も確認する
令和7年分以後は、19歳以上23歳未満の子どもについて、特定親族特別控除も確認します。
国税庁の説明では、年齢19歳以上23歳未満で、合計所得金額が58万円超123万円以下などの要件を満たす親族がいる場合、所得金額に応じた控除を受けられます。
控除額は、合計所得金額58万円超85万円以下なら63万円、そこから所得が増えるにつれて段階的に下がり、120万円超123万円以下では3万円になります。
つまり、19歳以上23歳未満の子どもは、58万円を少し超えただけで控除が完全にゼロになるとは限りません。
ただし、特定親族特別控除は令和7年分以後の新しい制度であり、年末調整や確定申告での手続きが必要です。
株式の申告所得がある場合は、親の年末調整だけで終わらず、確定申告で調整が必要になることがあります。
NISA口座は扶養への影響を抑えやすい
NISAは、株式や投資信託の売却益、配当、分配金が非課税になる制度です。
金融庁は、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になると説明しています。
非課税の利益は、親の扶養控除を判定するときの所得に入れずに済むため、子どもの投資では使いやすい制度です。
ただし、2024年からの新しいNISAは、日本国内に住む18歳以上が対象です。
未成年の子どもは新しいNISA口座を開設できません。
2023年までのジュニアNISAで保有している商品は、2024年以降も旧制度の非課税措置が外枠で管理されます。
ジュニアNISA廃止後の扱いは、次の記事で整理しています。
家族名義の株主優待は贈与や借名取引にも注意する
子ども名義の証券口座は、株主優待やIPOのために使われることがあります。
しかし、親が実質的に自分の資金で売買し、子ども名義を借りているだけなら、名義の問題が残ります。
資金の出どころ、投資判断をした人、利益の帰属があいまいだと、贈与税や借名取引の問題につながります。
子どもへ投資資金を渡すなら、贈与の記録を残し、誰の財産として運用しているのかを明確にします。
家族で株主優待を分散保有するときの注意点は、次の記事で解説しています。
子ども名義の株取引で確認する手順
子ども名義で株取引をするなら、取引前に次の順番で確認します。
- 子どもの年齢が16歳未満、16歳以上19歳未満、19歳以上23歳未満、23歳以上のどれかを確認する
- 親が扶養控除を受けているか確認する
- 口座区分が特定口座源泉徴収ありか確認する
- NISA口座や旧ジュニアNISA口座で取引できるか確認する
- 給与収入、配当、譲渡益を合算した所得見込みを確認する
- 確定申告で還付を受けるメリットと、親の扶養控除への影響を比べる
- 資金を親から渡す場合は贈与の記録を残す
子どものアルバイト収入と扶養控除の関係は、株の利益と合わせて見ます。
結論として源泉徴収ありとNISAを優先する
子ども名義の株取引で親の税金を大きく変えたくないなら、特定口座の源泉徴収ありを基本にします。
源泉徴収ありで申告しない限り、上場株式の譲渡所得は扶養判定に入れずに済む扱いです。
18歳以上ならNISAも有力です。
NISAの非課税利益は、親の扶養控除への影響を抑えながら投資しやすいからです。
一方で、税金の還付や損益通算のために子どもが確定申告をすると、申告した所得が扶養判定に影響することがあります。
子ども本人の税金だけでなく、親の扶養控除、住民税、勤務先の家族手当、健康保険の扶養を分けて確認してから申告します。
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ジュニアNISAの廃止後に残っている口座の扱いも確認しておきます。
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