遺言書の書き方と保管方法|自筆証書、法務局保管、公正証書の違い
遺言書は、財産を誰にどう渡すかを法律に沿って残すための書類です。
作るときは文章だけでなく、形式、内容、保管場所、亡くなった後に見つけてもらう方法を一緒に決めましょう。
自分で手書きする方法のほか、公証人に作成してもらう方法があります。
手書きの遺言書も法務局へ預けられますが、保管されればどんな内容でも有効になるわけではありません。
2026年9月時点で利用できる方法と準備の順番を整理します。
自宅保管、法務局保管、公正証書を比較
| 方法 | 作成と保管 | 費用と死後の手続き |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言を自宅などで保管 | 本人が原則として本文、日付、氏名を手書きし押印。紛失や発見の遅れへの対策が必要 | 公的な作成手数料はなし。専門家へ依頼する費用は別。原則として家庭裁判所の検認が必要 |
| 自筆証書遺言を法務局へ預ける | 自筆証書の形式を満たし、所定の様式で本人が保管申請する。内容の法的有効性の保証はない | 保管申請は1通3,900円。証明書の取得等は別料金。検認は不要 |
| 公正証書遺言 | 公証人が意思を確認し、原則として証人2人以上が立ち会って作成。原本は公的に保管 | 受け取る人ごとの財産額などで手数料を計算。証人等の費用は別。検認は不要 |
検認は、遺言書の状態を確認し、偽造や変造を防ぐための手続きです。
遺言の内容が有効かどうかを最終的に決める手続きではありません。
また、公正証書でも遺留分の問題や、遺言能力などをめぐる争いが絶対に起きないとはいえません。
書き始める前に、財産と相手を1枚にまとめる
遺言書を作る前の整理
1 財産を確認
銀行名と支店、不動産の登記事項、証券口座、借入れなどを一覧にします。
暗証番号は書き込みません。
2 渡す相手を特定
氏名と続柄など、相手を特定できる情報を確認します。
家族構成や前婚の子の有無も整理します。
3 配分と実行役を考える
自宅を誰に渡すか、他の相続人との調整、遺言執行者をどうするかを検討します。
4 方法と保管を選ぶ
内容が複雑なら専門家や公証役場に相談し、完成後の所在を伝える方法まで決めます。
「預金は長男へ」だけでは、同姓同名や口座の特定、あとで開いた口座の扱いなどが問題になることがあります。
不動産は住所の呼び方だけでなく登記上の表示を確認し、財産の書き漏れや受け取る予定の人が先に亡くなる場合も相談事項に入れましょう。
自筆証書遺言を書くときの基本ルール
- 本文、作成日付、氏名は本人が手書きし、押印する。日付は「吉日」などではなく年月日を特定する。
- 財産目録はパソコンで作成したり、登記事項証明書や通帳のコピーを添えたりできる。ただし自書しない目録の各ページに署名と押印が必要。両面に記載がある場合は両面で行う。
- 夫婦でも1枚の共同遺言にせず、それぞれが別に作成する。
- 訂正には決まった方式がある。加筆や修正が多い場合は、訂正の不備を避けるため全体を書き直すことも検討する。
法務局保管を利用する場合は、A4用紙、余白、片面記載などの所定の様式があります。
自宅で保管するために封をしたものをそのまま持ち込むのではなく、公式の様式と手順を確認して準備します。
申請は原則として本人が予約して行い、保管申請書、本人確認書類なども必要です。
2026年成立の改正と、今使える制度を混同しない
2026年6月に公布された改正法には、押印の任意化や、電子データ等で作成する「保管証書遺言」の創設が含まれています。
ただし、公布と施行は同時ではありません。
押印の任意化等は公布から1年以内、保管証書遺言の創設等は3年以内の政令で定める日に施行する枠組みです。
本記事の確認時点では、法務省の自筆証書遺言の利用案内に従い、手書きと押印を前提に準備します。
「デジタル遺言の法律ができたから、自宅で作った文書ファイルだけで有効」と考えないでください。
実際に作成する時点の施行状況は、法務省の案内で再確認しましょう。
公正証書遺言の費用は、財産額と受け取る人数で変わる
公正証書遺言は、全財産の総額だけで一律の料金になるわけではありません。
相続または遺贈を受ける人ごとの財産額で基本手数料を計算し、合算します。
全体の財産額が1億円以下の場合の遺言加算は1万3,000円で、そのほか交付方法、枚数、出張の有無などでも費用が変わります。
例えば、3,000万円の財産を1人に渡す場合、基本手数料2万6,000円に遺言加算1万3,000円を加えると3万9,000円です。
これは全費用ではなく、正本等に当たるデータや書面の交付、証人を依頼する費用、出張費などは別に確認します。
2025年10月から手数料と作成手続きが見直されているため、古い料金表ではなく公証役場へ見積もりを依頼しましょう。
原本を電子データで作成する公正証書の手続きと、先ほどの新しい保管証書遺言は別の仕組みです。
オンラインでの対応範囲や必要書類は、本人の状況を伝えて公証役場に確認してください。
保管した後に家族へ伝えること、見直すこと
遺言書の内容を全員に見せるかとは別に、どこへ保管したか、連絡すべき公証役場や専門家、遺言執行者をどこで確認できるかを整理します。
法務局保管の通知制度も確認し、住所等が変わったときは必要な届出を行いましょう。
結婚、離婚、家族の死亡、不動産の売却などで状況が変わったら、遺言書も点検します。
新しい遺言を作れば、古い遺言のすべてが自動的に消えるとは限りません。
どの内容を撤回するのかを明確にし、旧版との矛盾を避けるため専門家へ確認すると安心です。
医療や介護の希望、家族への思い、連絡先の一覧はエンディングノートにも整理できます。
ただし、ノートに財産の分け方を書くだけで遺言書の方式を満たすとは限りません。
法律上の財産配分と、日常の希望や連絡事項を役割で分けて準備しましょう。
制度と手続きの確認先
制度とサービスの確認日:2026年9月23日。
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