個人向け社債は危ない?デフォルトと途中売却のリスク、購入前の確認順

個人向け社債は、企業が利息と元本の返済を約束して発行する債券です。
定期預金より高い利率の商品があっても、元本保証はありません。
満期まで持つつもりでも、発行企業が支払えなくなれば損失が生じます。
購入を考えるときは、利率の順位より先に「いつ使うお金か」「発行企業にいくらまで貸せるか」「途中で換金できるか」を決めると判断しやすくなります。
- 満期まで使わずに置ける資金を分ける。
- 同じ企業グループへの投資が偏っていないか調べる。
- 目論見書で返済順位、繰上償還、売却条件を確認する。
個人向け社債と預金の違い
個人向け社債は、購入単位を小口にして個人も買いやすくした社債です。
企業の知名度や、販売している銀行や証券会社の名前が、元利金の保証になるわけではありません。
| 確認する点 | 個人向け社債 | 円定期預金 |
|---|---|---|
| 返済する相手 | 社債の発行企業 | 預けた金融機関 |
| 預金保険 | 対象外 | 対象預金には保護制度がある |
| 満期前の換金 | 売却価格と買い手の有無に左右される | 通常は所定の中途解約利率を適用。商品による |
| 利率が高い場合 | 信用力、期間、劣後性などの条件も確認 | 預入条件や適用期間も確認 |
円建てでも社債は預金にはなりません。
証券会社を通じて買うことと、発行企業から予定どおり返済されることは別です。
社債の四つのリスク
発行企業が支払えなくなる信用リスク
デフォルトとは、約束した利息や元本を支払えないなど、債務が契約どおり履行されないことです。
企業の破綻時には、元本の一部または全部を失うことがあります。
企業名だけで判断せず、目論見書の財務情報、資金使途、事業のリスクを読みます。
同じ企業の株式や社債をすでに持っている場合は、合計額で偏りを確認しましょう。
金利上昇で売却価格が下がるリスク
一般に、市場金利が上がると、すでに発行された固定利率の債券の価格は下がります。
より高い利息が付く新しい債券と比べると、古い債券の魅力が下がるためです。
通常の社債は、発行企業が契約どおり支払えば満期に額面で償還されます。
ただし、途中売却では購入額を下回ることがあり、満期保有でも信用リスクは残ります。
額面より高く買った債券は、償還額と購入額も異なります。
必要なときに売れない流動性リスク
社債の換金は、発行企業への中途解約ではなく、証券会社などを通じた売却が基本です。
相場や信用状態が悪化すると、安い価格しか付かない、または売却に応じてもらえないことがあります。
「途中売却可能」という表示だけでは不十分です。
購入する証券会社で、売却受付の方法、参考価格、代金の受取日を確認します。
近く必要になる教育費や生活費を満期まで動かせない商品へ入れないことが、先にできる対策です。
劣後債や繰上償還条項に伴うリスク
劣後債は、破綻など所定の事由が起きた場合に、通常の債権より返済順位が低くなる債券です。
利率が高くても、その差を追加の利益だけと考えないようにします。
商品によっては利払いの繰延べや、発行企業の判断による繰上償還などの条項があります。
繰上償還できる最初の日を確定した満期と取り違えず、正式な償還期限と条項を分けて読みましょう。
過去のデフォルト事例から分かること
日本証券業協会の2010年の国内公募社債に関する資料には、2001年のマイカル、2010年の日本航空や武富士などのデフォルト事例が掲載されています。
マイカルでは、個人向けに販売された社債の返済も問題になりました。
ただし、この資料は国内公募社債を扱っており、掲載された全社債が「個人専用に発行された社債」という意味ではありません。
過去の事例数を、今から買う銘柄の破綻確率として使うこともできません。
得られる教訓は、知っている企業でも返済不能は起こり得るということです。
「大企業だから」「過去に問題がなかったから」だけで、生活資金を一社へ集中させないようにします。
格付けを読むときの確認項目
格付けは、元利金の支払能力について格付会社が示す意見です。
投資適格の格付けでも返済が保証されるわけではなく、取得後に格下げされることもあります。
- 企業全体の格付けか、購入する社債そのものの格付けか。
- どの格付会社が、いつ付けた評価か。
- 現在の格付けに加えて、見通しや格下げの方向性が示されていないか。
- 劣後債など、同じ企業の他の債券と条件が違わないか。
記号の定義は格付会社で異なります。
低い格付けと、すでに債務不履行が起きた状態を同一視しないでください。
増える利息と失う元本を同じ金額で考える
投資額100万円で、比較対象との税引前年利の差が1ポイントなら、利息差は1年で1万円です。
両方に20.315%の税率がかかると仮定すると、税引後の差は約7,969円になります。
一方、元本が20%減れば損失は20万円です。
20万円÷7,968.5円は約25.1年分に相当します。
これは破綻確率や将来損失の予測ではなく、上乗せ利息と損失額の大きさを比べる例です。
利率の差だけで決めず、「その企業への投資でこの金額を失っても、予定している支出を守れるか」を先に考えます。
個人向け社債そのものはNISAの対象外です。
国内で課税される公募社債の利子などは、通常20.315%の税率を踏まえて比較します。
税金と売却費用を差し引き、同じ期間の預金などと比べると、上乗せの実額が分かります。
購入前に目論見書を読む順番
満期まで使わない資金か。企業ごとの合計額は適切か。
返済順位、正式な満期、繰上償還、売却方法を読む。
税引後の利息を計算し、追加リスクに見合うか考える。
最低購入額が大きく、一銘柄だけで手元資金の多くを占めるなら、購入を見送ることも選択肢です。
満期や発行企業を分けると集中を減らせますが、分散しても損失の可能性はなくなりません。
ポイントや優待が付くデジタル社債も、まず返済条件から判断します。
管理方法や特典の違いは、デジタル社債の仕組みと優待の見方で整理しています。
生活費と投資可能な資金を分けるには、家計診断で手元資金を点検してから購入額を決める方法があります。
具体的な社債を比べる場合は、SBI債とマネックス債の発行会社、期間、利率の比較も確認してください。
販売窓口と発行会社を分け、募集ごとの条件を読む手順を整理しています。
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