太陽光発電システムで発電した電力の固定価格買取制度(FIT)は、2009年11月にスタートしました。当初は余剰電力について48円/kWhという高い単価で売電できる仕組みでした。

制度開始から10年が経過した2019年以降、買取期間の満了を迎える家庭が順次発生しています。現在では、この期間満了を「卒FIT(そつフィット)」と呼ぶことが定着しており、対象となる世帯はすでに累計100万件を超えています。

今回は、太陽光発電の固定価格買取期間が終了した「卒FIT後」に、発電した電力をどのような形で売電、あるいは自家消費していくべきなのか、2026年現在の最新事情や具体的な買取価格、蓄電池・V2Hの活用法などをまとめて解説します。

太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の終了時期

住宅用太陽光発電システムで発電した電力のうち、余剰分を電力会社が固定価格で買い取る制度(FIT)の期間は10年間と定められています。

2009年11月にスタートしたため、2019年11月から順次、固定価格買取が終了する発電所が出てきています。2026年現在では、2016年に契約した方の卒FITが進行中です。

開始年(買取単価) 固定価格買取期間 卒FITを迎える年
2009年開始(48円/kWh) 10年間 2019年に終了
2010年開始(48円/kWh) 10年間 2020年に終了
2016年開始(31円/kWh等) 10年間 2026年に終了
2017年開始(28円/kWh等) 10年間 2027年に終了

FIT制度ができる前、太陽光発電の売電価格は買電価格と同等の24円/kWh程度でした。それを大幅に引き上げることで普及を促進し、現在では多くの住宅に太陽光発電システムが導入されました。

しかし、卒FITを迎えると当時の高い固定価格での買い取りは終了し、売電価格は大きく下落します。この大幅な価格下落と制度変更への対応が、かつては「2019年問題」と呼ばれていましたが、現在は「卒FIT後の電力活用をどうするか」という具体的な課題へと移行しています。

投資はすでに「回収」できているケースが多い

固定価格買取制度の初期から太陽光発電システムを導入しているご家庭の多くは、すでに初期投資を回収できていると考えられます。

10年間にわたる高い単価での売電収入と、自家消費による電気代削減効果をトータルで計算すると、導入費用をペイできているケースが大半です。大容量のシステムを設置している場合、すでに大きなプラスの収益を生んでいることも珍しくありません。

したがって、卒FITによる売電単価の下落は単なるマイナス要素ではなく、「投資回収を終えた太陽光発電システムを、今後どう賢く活用していくか」を考える新たなステージに入ったと言えます。

卒FIT後、現在の太陽光発電システムはどうなる?

10年間の固定価格買取が終了したからといって、発電ができなくなるわけではありません。システムが正常に稼働している限り、太陽光パネルは電力を生み出し続けます。

卒FIT後の余剰電力の扱いには、主に以下の選択肢があります。

  1. そのまま放置する(電力会社へ無償で送電)
  2. 電力会社や新電力と新たな売電契約を結ぶ
  3. 蓄電池や電気自動車(V2H)に蓄電して自家消費する

1つ目の「放置する」は、経済的なメリットが一切ないため論外です。実質的には、新たな売電契約を結ぶか、自家消費(蓄電)するか、という選択になります。

放置すると発電分はタダで回収される意外と知られていませんが、卒FITを迎えたシステムで新たな買取契約を結ばない場合、余剰電力は無償で電力系統に送電されることになります。
家庭で使いきれなかった電力を、電力会社にタダで寄付する形になってしまうため、必ず何らかの手続きを行う必要があります。

電力会社・新電力と売電契約を結び、今後も売電する

FIT終了後は、電力会社と自由契約を結ぶことで引き続き売電が可能です。現在、地域の各大手電力会社だけでなく、多くの新電力会社が卒FIT向けの買取プランを提供しています。

2026年現在の大手電力会社の卒FIT買取単価は、概ね7円〜9円/kWhです。(例:東京電力 8.5円/kWh、関西電力 8円/kWh、九州電力 7円/kWhなど)。
一方で、新電力の中には独自のプレミアム価格を設定しているところもあり、最大で14.6円/kWh(スマートテックのスマートFITなど)といった高めの単価で買い取ってくれる事業者も存在します。

しかし、現在の電気代(買電価格)が1kWhあたり30円以上になっていることを考慮すると、「買電価格 > 卒FIT後の売電価格」という図式は明白です。これまでのように「売電収入で稼ぐ」ことは難しく、電気代の削減額のほうが価値が高くなります。

蓄電池や電気自動車(V2H)を活用して自家消費する

晴天時の昼間に発電した電力を、買電価格よりも安い単価で売ってしまうのはもったいない、と考える方が増えています。そこで有力な選択肢となるのが「蓄電」して「自家消費」することです。

太陽光発電システムは、夜間や悪天候時には発電できません。昼間の余剰電力を蓄電しておき、夜間に使うことで、電力会社から高い電気を買う量を大幅に減らすことができます。

電気自動車を蓄電池にする「V2H」の普及

近年、家庭用蓄電池に加えて急速に注目されているのがV2H(Vehicle to Home)です。
電気自動車(EV)に搭載された大容量バッテリーを家庭用蓄電池として活用する仕組みで、昼間は太陽光の余剰電力をEVに充電し、夜間はEVから自宅に給電します。専用の家庭用蓄電池を購入するよりも、はるかに大容量の電力を蓄えられるケースが多く、2026年のCEV補助金ではV2Hの導入に最大45万円の補助金が用意されているなど、国からの後押しもあります。

家庭用蓄電池自体も以前に比べて価格競争が進み、導入しやすくなっています。災害による停電時の非常用電源としても非常に優秀です。

パワコンの老朽化と交換問題に注意

卒FITを迎えるご家庭が同時に直面する問題が、パワーコンディショナー(パワコン)の老朽化です。

パワコンは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する重要な機器ですが、その寿命(耐用年数)は一般的に10年〜15年と言われています。
2009年〜2016年頃に太陽光発電を導入したご家庭は、ちょうどパワコンの交換時期を迎えるタイミングと重なります。

交換費用の目安は20万円〜30万円程度です。もしこのタイミングで蓄電池の導入を検討する場合、古いパワコンを「ハイブリッド型パワコン」に交換することでシステム全体を効率化できるため、単なる故障交換ではなく、将来の運用を見据えた業者への相談をおすすめします。

これから太陽光発電を導入する方へ(2026年度の新FIT制度)

すでに導入済みの方だけでなく、これから新規に設置を検討している方にとっても、FIT制度は大きく変わっています。

2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)の新規FIT認定では、買取価格が従来の10年間固定から二段階制に変更されました。
具体的には、最初の1〜4年目は24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWhとなります。

5年目以降の買取単価が大幅に下がる仕組みになったことで、国としても「売電で利益を出す」モデルから、「蓄電池やEVと組み合わせて自家消費を最大化する」モデルへの転換を明確に推進しています。

卒FITを狙った詐欺や悪質業者に注意

卒FIT対象者が増えるにつれ、それに乗じた悪質な訪問販売や詐欺的な営業も増加しています。

「このままでは電気が売れなくなる」「法律で蓄電池の設置が義務化された」などと消費者の不安を煽り、相場よりも高額な蓄電池を買わせようとしたり、不利な契約を結ばせようとする業者が存在します。手続きの案内などは基本的に契約中の電力会社から書面等で届くため、突然の訪問や電話営業には十分注意し、必ず複数社から見積もりを取るなど冷静に対応してください。

まとめ:太陽光発電の「卒FIT」への備え

  • 2019年以降、買取期間10年が終了する「卒FIT」が順次発生している
  • 何もしないと余剰電力は無償で電力会社に引き取られてしまう
  • 卒FIT後の売電単価は7〜9円/kWh程度(新電力で最大14.6円等)と大幅に下がる
  • 「売る」よりも、蓄電池や電気自動車(V2H)を活用して「自家消費」する方が経済的メリットが大きい
  • パワコンの老朽化時期(寿命10〜15年)とも重なるため、設備の点検や見直しが必要

太陽光発電の投資回収が終わった今、蓄電池やV2Hの導入は、今後の電気代高騰対策や災害対策として非常に有効な選択肢となります。ご家庭の電力使用状況に合わせて、最適な活用方法を見つけていきましょう。

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ふかちゃん
マネーライフハック編集長。証券会社で個人向け金融サービスに従事した経験をもとに、2004年より金融・投資・クレジットカード・節約・ポイント活用に関する情報を発信しています。2011年からMoneyLifehackを運営し、2018年3月には月間200万PVを達成。金融サービスの提供側ではなく、利用者目線で実際に使って検証した一次情報をもとに、家計改善に役立つ情報を分かりやすくお届けしています。
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