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配偶者控除(扶養控除)の廃止と夫婦控除の新設に関するポイントのまとめ

gold-ring-1-1424764専業主婦における103万円の壁や130万円の壁、2016年からは106万円の壁の新設といったように労働における「壁」は確かに存在します。これらの壁を超えて働こうとすると所得税・住民税や社会保険料などの負担が発生することでの不利益や所得の逆転現象が発生することになります。

こうした問題を解決し、女性の労働にとってより中立な税制とするために、配偶者控除の廃止が議論されています。一時は2017年1月から配偶者控除を廃止して夫婦控除を設立という話がありましたが、自民税調は2017年からの改正を断念したようです。

ただ、そうはいっても今後もこうした配偶者控除の廃止や夫婦控除については議論され続けるはずです。この記事では、配偶者控除の問題点や配偶者控除による影響、夫婦控除の仕組みなどを紹介していきます。

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配偶者控除が廃止?

専業主婦優遇とされてきた配偶者控除は最短で2017年より廃止されることが検討されています。
ただ、単純に控除廃止となると専業主婦世帯やパート主婦世帯にとっては数万円単位の増税となってしまいます。そのため、単純に廃止するだけでなく、新たな所得控除が同時に設定される見込みです。

その最有力なのが「夫婦控除」というものです。

 

配偶者控除の問題点と夫婦控除の新設について

配偶者控除は妻の収入がパートの場合は年間103万円以内の場合に適用される所得控除です。
条件を満たした場合には夫に対して38万円の所得控除が与えられます。年間の所得が38万円減ることになるので夫の所得税率にもよりますが数万円分の税金が安くなります。

一方で配偶者(妻)の収入が103万円を超えるとこの配偶者控除が利用できなくなります。そのため、年103万円という収入がいわゆる「103万円の壁」となっているわけです。

配偶者控除の廃止で考えられている夫婦控除は配偶者の収入に応じて変化する控除ではなく、夫婦であれば一律で受けられる控除になる予定です。こうなることで専業主婦に対する税優遇がなくなり、本当は働きたいけど、税制面のことを考えると働かない(働くのをセーブする)という問題が解決できる可能性があります。

また、従来の配偶者控除は低所得者と高所得者のどちらも同じだけの所得控除となるため、低所得者よりも高所得者の方が節税効果が大きいため、新設される夫婦控除については所得控除ではなく税額控除になる見通しとも報道されています。

 

所得控除と税額控除の違い

日本の所得税は所得がふえるほど税率が高くなっています。

所得別の所得税率(平成27年分)
195万円以下:5%
195万円超330万円以下:10%
330万円超695万円以下:20%
695万円超900万円以下:23%
900万円超1800万円以下:33%
1800万円超4000万円以下:40%
4000万円超:45%

現在の配偶者控除(38万円)は所得からこの金額を差し引くことができるようになっています。たとえば、所得が850万円の人が結婚して配偶者控除を受けた場合、所得が850万円→812万円に減少します。これによる税金の節税額は38万円×23%=8.74万円です。一方で所得が300万円の人の場合は38万円×10%=3.8万円です。

そのため、高所得の人の方が、配偶者控除による恩恵は大きいわけです。

一方で夫婦控除で導入が検討されている案は「税額控除」といって所得控除は行わずに、支払う税額が決まった段階で税額から一定の金額を差し引くいというものです。たとえば一律に5万円の税額控除という場合は高所得者も低所得者も5万円だけ税金が安くなるという形で恩恵を受けることができます。

 

夫婦控除の案

夫婦控除の案として検討されているのが、「税額控除」によって所得にかかわらずに一定額を税金から差し引くことができるという案です。こちらの控除方式の場合は、所得税率(所得の高さ)によって控除額が大きくならないようになります。

また、2016年9月14日の日本経済新聞社が自民党の茂木敏充政調会長に行ったインタビューでは、夫婦控除の適用対象について年収800万円~1000万円の範囲で検討していると回答しており、高所得者については従来の配偶者控除がなくなるうえに夫婦控除も利用できず、数万円単位の増税となる見込みのようです、

 

本当に効果あるの?すでに103万円の壁は事実上無い

個人的にはこの改正の効果は疑問を持っています。

現行制度では事実上の103万円の壁は無くなっています。なぜなら、妻の収入が103万円を超えて配偶者控除が利用できなくなっても「配偶者特別控除」が与えらる事になります。こちらも38万円ですが、妻の収入が増えることで徐々に控除が縮小していく形になります。

そのため、妻の収入が103万円を超えたら急激に税負担が上昇するということはなく、その伸びは非常に緩やかな負担増になります。所得の逆転現象は発生しなくなります。

今回の配偶者控除廃止(夫婦控除新設)は専業主婦に対する優遇をなくすというよりも、共働き世帯の税負担減少という効果が中心となります。

 

増税になる人、減税になる人

配偶者控除がなくなって増税になる人、減税になる人を考えてみましょう。

・共働き世帯(年収一定範囲内)
夫婦控除(税額控除)によって年収が基準以内であれば減税になる

・共働き世帯(年収一転範囲超)
場合によっては増税となる

・専業主婦世帯(低所得者世帯)
おそらく減税になる

・専業主婦世帯(中所得者世帯)
おそらく増税となる

・専業主婦世帯(高所得者世帯)
かなりの増税となる

こういった結果になるものと思われます。

 

2016年10月からは106万円の壁。ますますパート妻は働けなくなる

税制面での配偶者控除廃止、夫婦控除新設はたしかに働く女性にとってはプラスとなります。
一方で、2016年10月からはあらたな高い壁が出現します。106万円の壁です。

106万円の壁は大企業に勤めるパート主婦を対象とした新たな社会保険制度で、パート勤めをしている主婦も社会保険(健康保険+厚生年金)に加入させようという新しいルールです。

サラリーマンの妻(第3号被保険者)は夫の社会保険の扶養に入ることで健康保険料+国民年金保険料が免除されています。その第3号被保険者制度というもの自体が専業主婦に対する強い優遇であるといわれています。

今回の106万円の壁はその優遇をのこしたままで社会保険加入のハードルを下げた形になっています。
この106万円の壁を超えてしまうと、パート妻にとっては健康保険料や年金保険料の負担が新たに生じることになるため、所得の逆転現象が起こります。

おそらくですが、多くのパート主婦は労働時間を抑えるなどして年106万円以下の働き方を模索するのではないかと思います。こちらについては「2016年10月から社会保険の年収の壁が106万円の壁に変更される」や「パートの妻が勤務先の社会保険に加入するメリットとデメリット」でも紹介しています。

 

壁をなくするなら配偶者控除よりも第3号被保険者問題の方が大きい

私見も含まれておりますが、真に女性の働き方に中立的な制度を目指すというのであれば、専業主婦に対する年金の優遇制度である第3号被保険者制度をみなすべきです。

・第1号被保険者
社会保険に加入できず、年収130万円を超えたパート主婦などはこちら。国民年金に加入します。

・第2号被保険者
大企業等で106万円以上、あるいは社会保険加入の条件を満たした方はこちら。厚生年金に加入します。

・第3号被保険者
夫が第2号被保険者でかつ本人の年収が130万円以下のように社会保険上の扶養を満たした方がこちら。国民年金に加入していますが保険料は全額免除となっています。

第3号被保険者の「国民年金保険料免除」というのはかなりインパクトがあります。第3号と第1号との間では年金保険料だけで年間18.7万円もの優遇を受けていることになるわけです。仮にパート妻が社会保険に入り第2号被保険者(厚生年金加入者)となった場合と比較しても年間で10万円近い差が生じることになります。
なお、国民年金と厚生年金の違いについては「意外と知らない国民年金と厚生年金の違い」も御覧ください。

ここを考えると、第3号被保険者の優遇が大きいため、仮に配偶者控除(扶養控除)を廃止したとしてもパート労働をしている主婦の働き方は変わらないか、逆に106万円の壁新設によって労働は縮小されるものと思われます。

 

現段階において配偶者控除(扶養控除)の廃止は全貌が見えないため、どのようになるかは不明なところも多いです。この記事は最新の情報に基づいて随時更新していきます。

以上、最短2017年?配偶者控除(扶養控除)の廃止を巡る議論と夫婦控除の新設の影響について考察してみました。

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