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株式投資の利益に対する税金の申告方法・支払い方法の違い

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tax株式投資をしているときの利益については利益に応じて税金を支払う必要があります。ただ、株の税金の支払い方法をより簡単にできるよう、日本の証券会社では「特定口座」という口座を認めています。そして基本的に証券会社に口座を作るときはこの「特定口座」を開設しているはずです。

特定口座内での株の利益に対する税金は大きく、取引をしている証券会社が投資家の代わりに税金を計算して支払いまでしてくれる「源泉徴収あり口座」と、計算だけは証券会社がしてくれて、発行された年間取引報告書をもとに自分で確定申告をする「源泉徴収なし口座」の2種類があり選択可能です。

それぞれによってメリット、デメリットがあるうえ、条件によって有利不利が変わってくる形になっています。今回はそんな株式投資の利益・所得の税金の申告方法や支払い方法の違いについてまとめていきます。

株の利益に対する税金の仕組み

まずは特定口座における「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の二つを見ていきます。

源泉徴収あり口座 源泉徴収なし口座
確定申告 不要。ただし、後から確定申告をすることもできます。 必要。ただし、年間の利益が20万円以下で条件を満たしていれば申告不要

また、主婦の方のようにほかに所得がない方は基礎控除の範囲となる38万円以下(住民税は33万円以下)なら課税されません。

税金支払いのタイミング 売買の都度、証券会社が利益を計算して所得税や住民税を源泉徴収・還付する。 証券会社が郵送する年間取引報告書の金額をもとに確定申告をして納税する(翌年2月ごろ)
株で損失が出た場合 配当金がある場合、配当所得の範囲に限り損益通算が可能。それでもマイナスが残る場合、損失を翌年に繰り越すことはできない。
ただし、確定申告を行えば、3年間の繰り越しが可能。
申告をすることによって配当金と株の譲渡損失との間での損益通算が可能です。また、損失が残る場合は3年間の繰り越しが可能です。
その他の影響 申告をしなければ何も影響もありません。利子の源泉徴収と同じ扱いです。 申告した所得は所得とみなされます。配偶者控除、健康保険料(社会保険)、住民税所得割額に影響する助成金やふるさと納税の寄付上限額などに影響を与えることになります

特徴的な部分は以下のところです。

 

1)源泉徴収なしを選択してれば申告不要(実質非課税)となるケースがある

源泉徴収ありのケースだと年間の株の利益が1万円でも20.315%が源泉徴収されますが、サラリーマンの方などで源泉徴収なしを選択してれば20万円以下なら申告不要。主婦や学生などでほかに所得がない方の場合、38万円(住民税は33万円)以下なら非課税です。

そんなに利益でないよという人は源泉徴収なしを選択しておくとお得なケースがあるということですね。

 

2)株の利益を申告することで扶養(配偶者控除)や健康保険料などに影響する

一方で申告をするほどの利益が出たとき、その利益は所得として扱われます。特に影響が大きいのは下記の点です。

 

・配偶者控除・扶養控除から外れる(専業主婦・学生)

年間の株の利益が38万円を超えて申告をすると配偶者控除の対象外になります。学生なら扶養控除からも外れてしまいます。結果として扶養している人の所得控除が減少することになって支払う所得税が大きくなります。

なお、配偶者控除や扶養控除から外れるとどうなるのか?ということについては「子供や配偶者のアルバイト。103万円以上なら扶養控除(配偶者控除)、扶養手当が利用できない」でもっと詳しくまとめていますのでこちらもご覧ください。

なお、上記は103万円としていますが、給与収入の103万円は給与所得控除を差し引くと38万円になるので、株の譲渡利益の場合は38万円を超えると扶養から外れます。

 

・健康保険料がアップする(自営業者やその家族)

サラリーマンが加入している健康保険(社会保険)の場合は別ですが、自営業者などで国民健康保険に加入している場合、株の利益分は健康保険料の算定に利用されます。
そのため、申告することで世帯単位の国民健康保険料が増加することになる可能性があります。

なお、国民健康保険料は世帯所得で決まるため、妻や子が株などで利益を出して申告した場合でも世帯の健康保険料は増額されます。

 

・サラリーマンの配偶者の扶養から外れる(サラリーマンの妻)

サラリーマンの妻は社会保険上の扶養として扱われることがあります(年収130万円以下が目安)。この場合、健康保険料の負担はありません。また、年金においても第3号被保険者として国民年金保険料が免除されています。

ところが、年収130万円を超えると扶養から外れてしまいます。外れると、国民年金+国民健康保険に加入する必要があります。

ただし、こちらは株の利益として年間130万円出るということです。上記のケースと比べると小さいかもしれませんね。

なお、サラリーマンの妻の第3号被保険者については「年金の第3号被保険者制度の問題点とその廃止議論についてのまとめ」でも詳しくまとめていますので、制度内容が気になる方はこちらもご覧ください。

 

・住民税の所得割額を基準とする助成金や補助金、ふるさと納税への影響

また、株の利益・所得を申告することによって住民税の所得割額も大きくなります。所得割額については「住民税の所得割額とは?所得割額の仕組みと計算方法」で詳しく紹介しています。

これによって所得制限のある助成金や補助金などに影響が出ることがあります。多くの場合、助成金や補助金は所得割額に応じて給付の可否や給付額に差が出ます。

申告をしたことで補助金や助成金の金額が減らされてしまった……。となるケースもあるわけです。

一方で逆にプラスとなる部分もあります。大きいのは所得割額が増加することでふるさと納税ができる上限額も大きくなるということです。ふるさと納税については詳しくは「ふるさと納税の基本。特産品・特典をもらって得をする仕組み、計算方法」でも紹介していますが、地方の特産品などがもらえるお得な制度です。

源泉徴収ありだと所得割額が増えないので寄付上限額は変わりませんが、申告分離をりゆすることで寄付上限額が増加します。

 

源泉徴収あり、源泉徴収なしはどちらを選ぶべき?

ケースバイケースとしか言えません。

株の利益が年間で20万円以下(主婦、無職なら33万円以下)なら税金が実質非課税となるわけで、源泉徴収なしを選択したほうが有利です。
そのため、あきらかにその水準くらいしか利益はでないというのであれば「源泉徴収なし」が有利といえるでしょう。

一方でそれ以上の利益が出そうという場合には主婦や自営業者などは大きな影響を受ける可能性があります。こうした場合では株の利益・所得がいくらだろうが健康保険料等に影響お与えない「源泉徴収あり」を選択しておくほうが有利といえるでしょう。

サラリーマンの方は申告しても影響はあまり大きくありませんが、小さな子供がいて児童手当(所得制限あり)などの補助金を受け取っている場合には株の利益の申告によってこうした補助金が受けられなくなる可能性があります。

逆に、こうした影響がないサラリーマンの方は申告して所得割額を増やすことでふるさと納税のようなメリットのある税制を逆に活用できる可能性もあるわけです。

少し雑なところもありますが、影響する項目をまとめてみました。

専業主婦 学生(被扶養者) サラリーマン
20万円以下 非課税 非課税 申告不要
20万円超 非課税 非課税 要申告(申告分離)
33万円以下 非課税 非課税 要申告(申告分離)
33万円超 住民税課税
所得税非課税
国民健康保険料増加(自営業世帯)
住民税課税
所得税非課税
国民健康保険料増加(自営業世帯)
要申告(申告分離)
所得割額に加算されるようになる(補助金・助成金・ふるさと納税に影響)
38万円超 所得税課税
夫の扶養から外れる(配偶者控除)
所得税課税
親の扶養から外れる(扶養控除)
130万円超 夫の社会保険から外れる(サラリーマン世帯)
国民年金の納付義務
親の社会保険から外れる(サラリーマン世帯)

※専業主婦や学生(被扶養者)は株の利益以外の所得がないものとしています。アルバイトやパートなどで収入がある場合は合算して考える必要があります。

 

以上、株式投資の利益に対する税金の申告方法・支払い方法の違いをまとめてみました。