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住民税の所得割とは?所得割額の仕組みと計算方法

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money_zeikin個人住民税は地方自治体が個人に対して課税する税金です。個人の場合は毎年1月1日時点で居住している都道府県(県民税)と市区町村(市民税)に対して納付され、自治体運営の財源となっています。

さて、今回のテーマの所得割額(所得割)というのは前年の所得に応じて課税される税金です。この所得割額というものは、地方自治体ベースの補助金等の給付や所得制限などにも用いられることが多いです。

今回はその住民税の所得割(所得割額)のしくみについて詳しく説明していきます。

住民税の所得割額の計算方法

住民税(個人住民税)の税金は「均等割」と「所得割」という二つで構成されていますが、住民税の所得割額というのは所得に応じて支払う必要がある住民税の金額のことです。

まずは所得割額の計算方法を見ていきましょう。

(前年の所得金額-所得控除額)×税率-税額控除=所得割額

次に、これらの項目についてひとつひとつ見ていきましょう。

 

前年の所得金額

所得(しょとく)というのは収入から必要経費を差し引いた金額となります。サラリーマンの場合は給与(額面収入)がありますが、ここから給与所得控除(サラリーマンの必要経費の概算額)を差し引くことができます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 12,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超 2,300,000円(上限)

たとえば、前年の年収(額面収入)が300万円という場合、300万円×30%+18万円=108万円が急所所得控除額となります。そのため、前年所得額は300-108=192万円となります。
自営業の方などは「売上から必要経費を差し引いたもの」がこの所得となります。

 

前年のというところが所得税と違う

ちなみに、この「前年」という部分が所得税と違うところです。所得税は当年の収入に対しての課税となりますが、住民税は前年の収入に対しての税金となります。

2016年1月~12月の1年分の住民税は2017年に納付することになります。サラリーマンの場合は2017年7月~翌6月にかけて給料からの天引き(特別徴収)によって納付します。ですから、新卒1年目(前年に所得がない)場合は住民税はかかりません。その一方で会社を辞めた場合で無職になったとしても前年に所得があれば無収入でも住民税を支払う義務が生じます。

高収入の方が仕事を辞めると翌年の住民税の支払が大変!という話はよく耳にしますね。

 

所得控除額

所得控除とは、納税者個人の様々な状況に応じて差し引くことができる控除額です。

代表的なものとしては基礎控除、社会保険料控除(年金や健康保険料の支払い分)、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、医療費控除などが挙げられます。

  • 基礎控除(33万円)
  • 社会保険料控除(払った全額)
  • 配偶者控除(33万円)
  • 配偶者特別控除(0-33万円)
  • 扶養控除(33-45万円)
  • 生命保険料控除(1.5万円-7万円)
  • 小規模企業共済等控除(払った金額)
  • 医療費控除

サラリーマンの方の場合は年末調整で対応できるものが多いですが、医療費控除のように確定申告が必要なものもあります。ちなみに控除される金額は所得税の計算とは違います。住民税のほうが所得控除の額が小さいです。そのため、所得税は課税されない人でも、住民税は課税されるというケースがあります。

関連記事:年末調整の控除の種類と必要書類

 

税率

税率は2016年現在は10%です。なお10%のうち4%が道府県民税・都民税、6%が市町村民税・特別区民税となります。所得税(5~45%)と違って累進課税ではなく、一律のフラットな課税となっています。

 

税額控除

税額控除というのは、上記で計算された住民税額から直接差し引くことができる控除となります。代表的なものとしては住宅ローン減税額、寄付金控除(ふるさと納税)などが挙げれます。

関連記事:住宅ローン減税(住宅ローン控除)の仕組みや申告の方法、活用方法のまとめ
関連記事:ふるさと納税で特産品・特典をもらって得をする

 

所得割額の計算方法

それでは具体的に住民税の所得割額の計算方法について紹介していきます。計算自体は所得税の計算と基本的には同じになります。

年収300万円のサラリーマン。配偶者がパート(扶養範囲内)、社会保険料は年間で44万円(協会けんぽ・東京都)というケースで計算例をみていきましょう。

年収300万円
▲給与所得控除:108万円
—————
所得:192万円
▲基礎控除:33万円
▲配偶者控除:33万円
▲社会保険料控除:44万円
—————
課税所得:82万円
—————
所得割額:82×10%=8.2万円

ここから、ふるさと納税などの税額控除となる項目があれば差し引きます。ちなみに、住民税には所得割だけでなく、「均等割」という住民税が課税されている人に対して一律でかかる税金があります。均等割の標準税率は4000円で復興特別税が加算されて、合計5000円(年額・東京都)となります。

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所得割額の通知書類をみたら金額はわかる

サラリーマンの場合は毎年5月~6月ごろに勤務先から「市民税・県民税 特別徴収税額決定通知書」というものがわたされるはずです。

これに住民税の所得割額などが記載されていますのでかならず保管してなくさないようにしましょう。年始に受け取った「源泉徴収票」が所得税に関する計算書類であり、「住民税額通知書」は住民税に関する計算書類となります。
関連記事:知っておきたい源泉徴収票の見方、読み方、使い道

自営業やフリーランスの方などで自分で確定申告をしている人は同様の通知書が、市区町村から郵送で交付されます。

その書類に市と県で別々に「市民税所得割額」「県民税所得割額」が記載されています。
住民税所得割額という場合は上記の「市民税所得割額」「県民税所得割額」の合計になります。

 

所得割額でもらえる補助金が変わることがある

所得割額は地方自治体が給付する様々な補助金とも関連があります。

代表的なところでは子どもの進学や就学に関する補助制度などがありますね。「私立幼稚園就園奨励費補助金」や「小学校や中学校の就学援助制度」「高等学校就学支援金」などがあります。この辺りは子供の教育費とも絡んでくる部分であるのと同時に条件を満たす満たさないで、数万円~数十万円の金額が変わることもあります。

所得というのは簡単にコントロールできるものではありませんが、調整できる所得があるのであればこうした補助金等との関係もしっかりと調べておくと損をしないかもしれません。

 

iDeCo(イデコ)は所得控除なので掛金分だけ所得を減らせる

単純な方法でいえば、個人型確定拠出年金(iDeCo)があげられます。iDeCo(イデコ)は小規模企業共済等控除として全額が所得控除の対象となります。自営業の方なら年81.6万円まで、サラリーマン(企業年金なし)なら年27.6万円を上限として掛け金をかけることができます。

そうすれば、その分だけ所得額を差し引くことができ、結果として住民税の所得割額を小さくすることができます。

金額も大きいのでiDeCo(イデコ)を利用した所得圧縮はかなり有効な手段です。

給料
▲給与所得控除
—–
所得
▲所得控除(iDeCo掛金
—–
課税所得
×税率(住民税なら10%)
—–
住民税所得割額

iDeCoの掛金は住民税所得割額を決める“課税所得”を決定する者なので、iDeCoの掛金×10%分の所得割額圧縮効果があるといえます。年間で6万円の掛金を払えば6,000円分の所得割額が小さくなります。

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※ちなみにiDeCo(個人型確定拠出年金)は単年のみの加入はできません。最低月額として5,000円の納付が必要になりますので、短期的な節税(住民税所得割額の圧縮)を考えているのであれば、あまりお勧めできるものではないといえます。

 

ふるさと納税や住宅ローン減税は“税額控除”なのでダメ

同じような節税の手段として「ふるさと納税」もあげられます。こちらは、一定の範囲内で所得割額自体を減らすことができます(税額控除)。

ただ、補助金や給付金などに関して、通常自治体は税額控除前の所得割額でみるので、税額を減らすだけなら有効ですが、補助金や給付金のために利用するのであれば意味がありません。

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以上、住民税の所得割額とは?補助金などの所得制限によく利用される所得割額の仕組みでした。