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知っておきたい源泉徴収票の見方、読み方、使い道

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gensen年末調整もおわって、勤務先から「源泉徴収票」と書かれた書類を受け取ったという方も多いのではないでしょうか。何気なく受け取っているだけでしまいこんでいる方も多いかもしれませんが、税金のことを知る上でも源泉徴収票の見方と読み方はぜひ知っておきましょう。

サラリーマン収入だけの方で転職等をするわけではない人にとっては、そのあと特に使うものでもないので軽く考えていらっしゃるかもしれませんが、しっかりと保管しておきましょう。

そもそも源泉徴収票とは何か?

源泉徴収票(げんせんちょうしゅうひょう)というのは、サラリーマンのようにお給料から税金を差し引かれて納税している人に、天引きした人(この場合、会社)が発行します。

源泉徴収票は下記の画像の様な1枚のペラ紙です。
すぐに捨ててしまっている方もいるかもしれ線が、とても大切な情報が詰まっています。

 

平成30年以前の源泉徴収票

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捨てている人もいるかもしれませんが、少なくとも数年は大切に保管しておきましょう。

 

平成30年以降の源泉徴収票

平成30年以降は下記のように変更されています。変更の理由は配偶者控除の拡大に伴う部分や個人番号(マイナンバー)にかかる部分です。

令和元年以降もこちらの様式が用いられます。

 

源泉徴収票はサラリーマンとしての収入や所得のまとめ情報

収入(年収・給与)と手取り、所得の違いを理解しよう」でも説明している通り「収入(額面)-経費(給与所得控除)=所得」「所得-各種所得控除=課税対象所得」「課税対象所得×税率=所得税額」「所得税額-税額控除額=最終的な所得税額」といったように計算されます。

源泉徴収票では、上記の計算の元になる数字が記載されている書類です。

なお、各種所得控除のうち「生命保険料控除」や扶養家族にともなう「扶養控除」「配偶者控除」などは主に年末調整で会社に申告することで控除対象になるものがあります。

また、「住宅ローン控除(税額控除)」については、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で対応できます。くわしくは「年末調整の控除の種類と必要書類」もご覧下さい。

ただし、副業等でサラリーマンとしての収入以外の収入がある場合や、医療費控除など年末調整では対応できない所得控除の項目がある場合は、この源泉徴収票と、そのほか申告に必要な書類をもって確定申告をする必要があります。

 

源泉徴収票を見たら何がわかる?

源泉徴収票を読み取ることで下記のことが分かります。

・1年間にあなたが稼いだ金額はいくらなのか?
・それに応じて所得税をいくら納付したのか?
・社会保険料(年金保険料や健康保険料など)をいくら払ったのか?
・扶養家族は何人いるのか?

 

源泉徴収票に間違いが無いかをチェックしよう

まずは、源泉徴収票に間違いが無いかをあなた自身でもチェックしてください。
年末調整は会社や会社が委託した税理士などに行ってもらっていますが、書類の確認漏れなどで正しくないかもしれません。

放置しておくと不利になることもありますので、しっかりとチェックします。

  1. 住所氏名に間違いはないか?
  2. 扶養家族に間違いはないか?不足はいないか?
    ※(年少)というのは幼稚園などという意味ではなく年少扶養親族(16歳未満)のことです。16歳未満は児童手当を受給しているので扶養控除の対象外となります。
  3. 生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除などの適用になっているか?
    ※年末調整で書類を会社に提出している必要があります。住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)は初年度は申告が必要になり、2年目以降は年末調整対応ができます。詳しくは「年末調整の控除の種類と必要書類」や忘れていた場合は「年末調整で提出し忘れた項目があった時は後からでも確定申告できる」も参考にしてください。

源泉徴収票は企業の経理担当者や委託されている会計事務所などが作成しています。間違っているケースも少なくないので、受け取った源泉徴収票は一度しっかりとチェックしましょう。

 

源泉徴収票でわかる所得税の計算方法

以下の4項目が特に重要な部分となります。読み方については各項目ごとの解説をご覧下さい。

 

(1)支払金額

会社があなたに支払った総支給額です。いわゆる年収を言う場合はこの部分を指します。額面給与というのが、この部分ですね。

 

(2)給与所得控除後の金額

サラリーマンの経費である「給与所得控除」を差し引いた後の所得額となります。企業会計だと営業利益にあたります。

スーツ代や靴代のように仕事をする上で必要だけど会社が経費として支給されないコストというものがあるはずです。給与所得控除はこうしたサラリーマンの必要経費として概算で計算した費用項目となります。

なお、給与所得控除は支払い金額(額面給与)に対して自動的に決まります。

 

(3)所得控除の額の合計額

給与所得控除と名前が似ていますが、別物です。

(2)の給与所所得控除後の金額と言うのは「収入-必要経費(給与所得控除)の金額」となっているのに対して(3)の所得控除は控除する金額の合計額となっているのでややこしくて分かりにくいですね。

「基礎控除」「社会保険料控除(年金や健康保険料)」「配偶者控除・配偶者特別控除」「扶養控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」の合計額が書かれています。

ちなみに、その明細はその下の行に書かれています。

 

(4)源泉徴収額

「(2)-(3)=所得」となり、その所得に対して課せられた所得税の金額がこの部分になります。

下記の例だと2,088,000円から869,868円を引いた1,218,132円が所得ということになります。所得税率は195万円以下の部分は5%でその税額に2.1%の復興特別所得税が差し引かれます。

1,218,132円×5%=60906円(所得税)
60906円+2.1%(復興特別所得税)=62,185円(100円未満は切り捨てなので62,100円)ということになります。

なお、住宅ローン控除のような税額控除がある場合はその金額分が所得に対する税金から差し引かれています。今回のシュミレーションでは入れておりませんが、仮に3万円の税額控除が受けられる場合は上記の62,100円から30,000円を差し引いた32,100円が源泉徴収額となります。

住宅ローン控除については「住宅ローン減税(控除)の条件や計算式、最新情報のまとめ」が参考になります。

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大切な部分はこの辺りになります。

こうして計算された所得額をもとに、翌年の6月ごろまでに、お住まいの市区町村から「給与所得等に係る市民税・県民税特別徴収税額通知書」が勤務先を通じて届けられます(特別徴収者)。

 

源泉徴収票は何に使うの?源泉票の使い道

源泉徴収票は、給料以外にも収入がある方は確定申告等に使うほか、所得の証明としての機能も持っています。

 

確定申告が必要な場合に必要

サラリーマンでも知っておきたい還付申告」や「年末調整の控除の種類と必要書類」でも紹介しているように、サラリーマンの所得計算は年末調整だけで確定するわけではありません。

  • 医療費控除(年間医療費が10万円以上)
  • 雑損控除(災害等の被害に遭った)
  • 寄付金控除(ふるさと納税をワンストップ特例制度を利用せずに行った)
  • 特定支出控除(仕事に必要な資格取得などでお金をたくさん使った)

上記のようなケースは年末調整で対応できないので、源泉徴収票をもって税務署で確定申告(還付申告)をする必要があります。

また、還付のケースではなく、サラリーマン以外に副業をしているケースなどでは、その所得を申告する際にも必要です。

確定申告をするときにはこの源泉徴収票がサラリーマンとしての所得計算において必要な書類となります。

 

年の途中で会社を辞めた時は次の転職先で必要

ちなみに、会社を年の途中でやめた場合なども受け取ります(会社側に発行する義務があります)。

このときの源泉徴収票は転職先に提出する必要がありますので、大切に保管しておいてください。なお、自営業・フリーランスに転向するというようなケースでも確定申告の時に必要になります。

同一年に転職をしなかった場合でも自営業・フリーランスに転向する場合と同様に源泉徴収票を元に、確定申告をする必要があります。

ちなみに、源泉徴収された金額は本来納付するべき税額よりも高くなっているほか、年の途中で退職した場合でそのあと収入がなかったようなケースでは確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性が高いです。

無くしてしまった場合や複数の用途で源泉徴収票が必要になるケースでは、元の会社に再発行(追加発行)の依頼をすることになります。あんまりいい顔されないかもしれませんがそれしか方法はありません。

 

住宅ローンなどでの審査に使う

住宅ローンなどの融資を受ける時、源泉徴収票はあなたの所得を証明する書類として利用されます。

また、近年では一定額以上のカードローンの利用やクレジットカード(キャッシング枠)の利用などで源泉徴収票による所得証明が必要になるケースがあります。

あなたのサラリーマンとしての収入の証明書として利用されます。

 

流行のふるさと納税の寄付可能額の試算には欠かせない

2015年より確定申告が不要になるワンストップ特例制度がスタートし、より身近になったふるさと納税。最高2000円の自己負担で寄付した金額が戻ってくる上、寄付額に応じたプレゼントがもらえるとあって人気を集めています。

詳しくは「ふるさと納税で特産品・特典をもらって得をする」や「2015年から「ふるさと納税」の手続きがより簡単に。確定申告が不要、寄付上限も2倍へ」の記事をご覧ください。

ただし、2000円の自己負担で済ませることができる寄付上限額は所得によって変わってきます。

自分はいくらくらいまでなら2000円の自己負担でふるさと納税をすることができるのか?ということを知るにはこの源泉徴収票に書かれている金額からおおよそシュミレーションすることができます。

注意点としては、あくまでも源泉徴収票に書かれているのは「昨年」の分であるということが挙げられます。2000円の自己負担で寄付できる金額は「今年」の所得で決まりますので、その辺りは加味して考える必要があります。
所得が大きく上昇する人は寄付可能額は増えますし、下がる人は小さくなります。

ちなみに、今回の解説用の源泉徴収票で寄付可能額を試算としたところ21,742円までの寄付なら2000円の自己負担でできるという結果でした(配偶者の所得はゼロと仮定)。

 

以上、知っておきたい源泉徴収票の見方、読み方、使い道を紹介しました。