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タンス預金をおすすめしない理由とタンス預金のメリットの嘘(間違い)

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kinko_tesageマイナス金利で銀行預金から引き上げてタンス預金(現金の自宅保管)に切り替える方が増えているそうです。タンス預金についてはペイオフ対策や相続税対策、マイナンバー対策等の様々な名目で話題となり、その都度、金庫が売れているようです。

個人的には金庫屋さんが煽ってるんじゃないの?と思うほどなわけです。今回はそんなタンス預金をおすすめしない理由とメリットの嘘(間違い)を紹介していきます。

タンス預金とはそもそも何か?

タンス預金というのは、そのまま読めば、タンスに入れて保管している現金という意味ですが、もっと大きな意味で自宅に保管している現金のことを指します。金庫に入れていようが、ボストンバッグに入れて天井裏や床下に隠していようが現金ならタンス預金です。

要するに銀行などの金融機関に預けずに自宅においている現金ということですね。「専業主婦やサラリーマンの「へそくり」の相場や語源、隠し場所」でも紹介したように、ヘソクリの保管などにもタンス預金は活用されているようです。

このタンス預金が急増しています。

  • 今年度の1万円札例年よりも1兆8000億円増刷
  • 家庭用金庫が売れまくっている

こんなニュースを耳にした方も多いかと思います。

原因としては2016年から運用が始まり徐々に範囲が拡大されるマイナンバーへの対策や、2016年1月からの日銀によるマイナス金利で預金金利の低下を嫌った方からの資金流出が原因と言われています。

(2017年4月追記)
第一生命経済研究所の調査によると2017年2月末のタンス預金残高は43兆円に達しており、タンス預金の残高は年々増加しています。ちなみに、2017年2月末時点の紙幣の発行残高は99兆円とされており、半分弱がタンス預金として使われずに眠っている試算となります。

(2019年2月追記)
日本銀行は2018年末の時点で1万円札の流通高が100兆円を突破し、102兆1872億円にた達したと発表しました。第一生命経済研究所によると、2018年末で推計されるタンス預金の残高は50兆4000億円と発表しており、タンス預金の増加ペースが凄いことになっています。

 

タンス預金をお勧めしない理由

タンス預金は私はまったくお勧めしませんその理由を3つあげます。

 

1) 災害時のリスクがある

災害のリスクがあります。火災保険や地震保険では現金は保障の対象外です。燃えてしまったり流されてしまったりしたらそれでおしまいです。消えて無くなります。
一方で通帳が燃えても基本的には再発行してもらえますし、預金は無くなりません。

銀行に預けておけば防災対策も整った安全な金庫で無料管理しれくれるわけです。そもそも被害にあったとしても、預金はだれの現金という形で管理されているのではなく、あなた自身が○○銀行にお金を預けていて、そのお金を返してもらう権利を有しているわけですから被害に遭っても関係ありません。

万が一、銀行が倒産した場合であっても1000万円+その利息は預金保険によって国によって保護されているので、まず安心です。

 

2) 盗難などのリスクもある

災害ではありませんが、盗難というリスクもありますね。
空き巣ならまだしも、強盗などの被害に遭う場合は身の危険も出てくるわけです。もちろん、現金を自宅に保管しているということを外部に大々的に言う方はいないと思いますが、お金が絡んでくると身内だって怖いですよ。

 

3) 紛失するリスクがある

その秘密にしているタンス預金だからこそ、気付かずに捨ててしまった……なんてことになるかもしれません。特にヘソクリみたいに隠しておいたら、隠してあることを他の家族が知らずに捨ててしまったというケースもあるかもしれません。

また、タンス預金として隠している人が家族にもそれを知らせずにいたような場合、死亡した場合などに遺族がそれを知らずに、隠し場所ごと処分してしまうというリスクもあります。

多額の現金入りの家具がゴミ処理場などで見つかったというニュースが時々報道されるように、タンス預金の多くは「秘密」にしているケースが多いため、見つけられずに捨てられてしまい、せっかくのお金が消えてしまうというリスクがあります。

 

タンス預金のメリットのホント、ウソ。

タンス預金についてマイナス金利対策は全く無意味ということは説明済みですが、残る二つは「ペイオフ対策」と「マイナンバー対策」でしょう。それぞれのメリットのホントとウソを説明していきます。

 

銀行に預けていてもほとんど金利が付かない

2016年に入ってから金庫を買ってタンス預金をするという人が日銀によるマイナス金利の導入で預金金利がほぼゼロになったからという理由をあげている方が多かったのに驚きです。

確かに預金しても金利はつきませんが、タンス(金庫)に入れておいても付かないですよね?
むしろ金庫を購入する費用がかかりますし、自宅にそれだけのスペースを作る必要があるのでそのコストを考えると逆にそっちの方がマイナスなのではと思います。

マイナス金利というは日銀に銀行が預ける預金金利の一部がマイナスになるだけであって、普通の銀行に一般消費者が預けている預金金利はマイナスじゃないですよ。

たとえば「普通預金の金利・利息が高くて便利なおすすめの銀行を比較」でも紹介したように普通預金であってもある程度の金利がつく銀行もあります。ほとんど金利はつかないけど、自宅で眠らせておくよりはマシです。

 

ペイオフ対策になるってのは本当?

たしかに、銀行が破綻するというリスクはゼロではありません。

ただし、預金は1000万円+利息が1銀行あたり保護の対象になるので、10の銀行に分散して預金すればそれだけで1億円は確実に保護される預金となります。

現預金で10億とか100億円持っているような人にとっては意味があるかも知れませんが、そうでない方にとっては大きなメリットとはえいないでしょう。

また、銀行口座を沢山作るのは面倒という方は「個人向け国債」でも買っておけば安心です。
国(日本自体)が信用できないという方もいるかもしれませんが、そういう方は日本銀行券である「円」でお金を持つべきではありません。米ドルなどの外貨資産か金(ゴールド)などの実物資産を持ちましょう。

ペイオフについては「銀行預金や定期預金で知っておきたい預金保険とペイオフのしくみ」の記事もご参照ください。

 

相続税対策(脱税)ができる

タンス預金(現金)で資産を小さく見せるというのは非常に古典的な手法である為、税務署側も過去の様々な知見で、タンス預金を使った脱税は見抜いてきます。

マイナンバー制度によって収入面は透明化され、「強化された海外資産の申告義務、国外財産調書制度の内容」でも紹介したように海外資産の管理も強化されています。

いくら現金を隠し持っているとしても収入や支出のバランスなどから調査されます。数千万、数億といったタンス預金にって脱税をしようとするくらいの富裕層ならなおさらです。

 

貯蓄税から逃れられる

貯蓄税というのは、貯蓄に対して課税される税金で財産税の一種です。もちろん、2017年現在では導入されていません。ただ、一部界隈でマイナンバーによって銀行口座の紐付けが容易になることで貯蓄税が導入されてしまうのでは?という危機感があるようです。

導入が検討されているのでは?という噂レベルの話です。
ちなみに、貯金(銀行預金)に対して課税されるなら個人向け国債やMRFといった、元本割れのリスクが少ない投資商品に預金から移せばだけという感じがします。
参考:MRF(マネーリザーブドファンド)とは

さらに、そもそも銀行口座へのマイナンバーの紐付けは2018年より新規の口座開設に「お願い」される形となります(法律上の義務なし)。既存口座への紐付けは2021年といわれていますが、まだ確定していません。

そうした噂レベルな話の為に、最初に述べたようなデメリット(負担)を負ってまでタンス預金として現金保有をするメリットはほぼないと思います。

 

万が一に備えて一定の現金はあってもよいが必要以上のタンス預金は無意味

クレジットカードや電子マネーは大災害に弱い。現金を手元に確保しておく重要性」でも記事にしましたが、災害などの時に役に立つのはやはり現金です。
また、世帯主に死亡するなどした場合に本人の銀行口座が凍結されて当面の間、出金できなくなるという問題(リスク)もありえます。

そうしたことにそなえるという意味でも数十万程度の現金を自宅においておくというのは良いことかもしれませんが、数百万円、数千万円、数億といった単位の現金をタンス預金しておくというのはあまり意味のあることではないと思います。

ちなみに、災害対策として現金を用意しておくのであれば1万円札ではなく、1000円札で用意しておくべきです。あいてが必ずしもおつりを用意できるとは限りませんので。

 

以上、タンス預金をおすすめしない理由とタンス預金のメリットの嘘でした。