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相続等で株券(タンス株)を発見したときの対応方法と必要な手続き

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よくいただく質問の一つに、相続で自宅で株券が見つかったけどどうしたらいいのか?という内容をいただくことがあります。

故人の遺品整理などをする中で、タンスなどから上場企業の株券(株式)が見つかるケースがあります。

実は、上場企業の株券は電子化されているので、株券自体に意味はないのですが、電子化の際の手続きが漏れているような場合もあります。

もしそのように株券を見つけてしまった場合、どのような手続きをとればいいのかを説明します。

株券の電子化とは

そもそも、上場企業の株式は電子化されており、証券保管振替機構によって株主が管理されています。

株の電子化とは、上場企業の株式について現在の券面としてではなく、電子的な方法で株券を管理することでペーパーとしての株券をなくしてしまうという制度です。

すでに上場企業株式の電子化は完了しており、たとえば自宅で株券を見つけた場合、その株には株としての意味はありません。

じゃあ、株主としての権利を喪失しているのか?といわれるとそうではありません。電子化期限までに手続きが取られなかった株券については信託銀行において特別口座という形で名義人が管理されています。

 

信託銀行と特別口座と電子化された株券

信託銀行はあまり一般の方にはなじみのない銀行ですが、役割として上場企業の株式の管理業務を行っています。各上場企業はいずれかの信託銀行に業務を委託しています。

たとえば、トヨタ自動車の場合は三菱UFJ信託銀行がその管理を行っています。

そして、特別口座というのは、株券の電子化手続きが取られなかった株主の権利を保護するために特別に開設されている口座を指します(参考:特別口座とは

ですから、自宅でトヨタの株券が見つかった場合は、三菱UFJ信託銀行に行って手続きをすれば、大丈夫なのです。

 

電子化され、特別口座に入っている株を売却するには

まずは特別口座から出してあげる必要があります。特別口座から直接株を売却することはできないためです。株の売買ができる証券会社に株券を移管します。

まずは、証券会社に口座を作ります。作る証券会社はどこでも大丈夫です。

個人的にはネット証券の方が手数料も安いですし便利だと思います。
(参考:ネット証券比較ランキング

口座を開設したら、証券会社のホームページやコールセンターなどから「特別口座から証券総合口座への移管手続きに関する書類」を受け取り、手続きを行います。
手続きが完了すると、あなたの証券口座に、特別口座から株券が移ってきまので、証券会社の口座を通じて売却することができます。

 

相続の際は名義書き換えも必要

なお、自分名義の株券なら前述の手続きでOKですが、故人名義の株の場合は相続(名義書き換え)の手続きも必要になります。これは少しやっかいです。

信託銀行に対して一般承継(相続等)による口座振替申請書を提出する必要があります。

  • 相続関係を示す戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書等の書類

以上が必要となります。相続手続き時に見つかった場合ならともかく、相続手続きが終わった後に出てきたような場合は厄介ですね……。

 

取得価格が不明の株券はどう扱われる?

株券が出てきたけど、その株式を証券会社に入庫する際に「取得金額」が問題となります。

なぜ取得金額が必要なのかというと、その株式を売却した時の譲渡益課税の計算に使うからです。

株の売買益の税金は「(売却金額-取得金額)×20%」となります。そのため、取得金額が大きいほど、払う税金は少なくて済みます。

これが証明できればいいのですが、できない場合は「概算取得費」で計算されます。これは売却金額の5%です。

ということは95%は利益とみなされて、売却金額の大半×20%という極めて高い税金が課せられることになってしまいます。

取得価格については証券会社の記録(過去10年)はありますが、株券として残っていた株の場合、そうしたデータは絶望的です。

信託銀行の株式異動証明書の日付、メモや郵便物などで取得金額がわかる場合にはそれが採用される余地がりますので、取得金額がわかる書類を頑張って探しましょう。

 

もしも、株券が眠っているなら家族に迷惑をかけないために自分で手続きを

最近は生前整理や終活といった言葉も使われるようになりました。

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株券が電子化されたとしても売却するつもりはないからそのままでいいか。とお持ちの方も高齢者の中にはいらっしゃるかもしれません。株主としての権利はそのままですし、売却しないなら不都合は特にありません。

ただ、そのままにしておくと、相続の際は厄介になります。

特に問題となるのは税金ですね。「取得価格が不明の株券はどう扱われる?」の項目でも書いたように、遺族に多額の税金負担を背負わせてしまう可能性もあります。

そのため、株券がまだ自宅にあるわい!という方はなるべく早めに証券会社に手続きをして株券を確実に相続できるように手続きしておくことをおすすめします。